【トヨタは驚愕の1兆円超え!!】 そのお金は何に使われている!? メーカー研究開発費のナゾ

FCVFCV 世のなかに登場する幾多の新技術を生み出す源泉となるのが製造業にとっての研究開発費。それは日本の基幹産業である自動車メーカーとて同じことで、その金額は年々増加してきている。クルマ界には今後、自動運転を筆頭に来たるべき未来への投資が不可欠なわけだが、さて、そのお金はどういう風に使われているのか? その最新事情を探った。

※本記事は2017年のものです。
文:鈴木直也、ベストカー編集部
写真:ベストカー編集部
初出:2017年10月10日号


■企業の研究開発費 自動車メーカーが上位を占めている理由

(文:ベストカー編集部)

下の表は今年度の企業研究開発費を金額順にランキングしたもので、トップ3はすべて自動車メーカーが占めた。なかでも唯一1兆円を超えるトヨタの突出ぶりが目立つ。トップランナーとなっているハイブリッド車関連以外にもFCV(燃料電池車)、EV、自動運転、AI関連などなど、投資すべき課題が年を重ねるごとに増えているからだ。

各社2017年度計画より。水色は自動車メーカーおよび自動車関連企業

トヨタの研究開発費1兆円超えは今年で4年連続となるが、こうした研究開発費が増大するいっぽうの現状に対し、豊田章男社長は「自動車産業はパラダイムシフトが求められている。そのためにはAIや自動運転、コネクテッド、ロボティクスなどといった新領域が重要となってくる」との認識を示している。

2位のホンダは過去最高額となる7198億円。独自で自動運転と次世代環境分野へ積極的に力を注ぐとともに、グーグルを傘下におさめる米国アルファベットの子会社ウェイモとの完全自動運転の共同研究開発に乗り出すなど、活発な動きをみせている。

5319億円で3位の日産も、強みとするEV関連技術に加え、プロパイロットによる自動運転分野での開発力強化を進めていく。ホンダ以外にスズキ、マツダ、スバルの3社も過去最高を記録し、三菱(40位)を含めた4社はいずれも対前年度比フタ桁%の伸び率。

スバルは3年連続の1000億円超えとなったが、来年3月期の営業利益は対前年度比0.2%減の予想。にもかかわらず、同社の吉永泰之社長(当時)も「将来への投資については抑制しない」と明言しており、看板である先進安全運転支援システム「アイサイト」の開発費に加えてEV関連の研究も増大させる。

自動車関連技術への投資は自動車メーカー以外にも波及。ソニーやパナソニック、日立製作所などトップ10に入ったメーカーはいずれもAIやバッテリー、IoTなどの重点開発を掲げている。

自動車メーカー7社の研究開発費合計額は、2兆8000億円を超えて過去最高を更新する見通し。しかし、海外勢ではVWの1兆8000億円(売上比率ではトヨタの3%を大きく上回る6%)を筆頭にBMWも6000億円超の研究開発費を計上しており、ますます今後もこの流れは加速していきそうだ。

■研究開発費の増大で楽しみなクルマが登場する?

(文:鈴木直也)

どんな業界でもビジネスを成長させるためには「研究開発費」が必要だけど、自動車業界はそのスケールにおいて他を圧するビッグマネーが動いている。

2017年度の計画でいうと、トヨタが1兆556億円、ホンダが7198億円、日産が5319億円。これを1年間で使い切る。まぁ、トヨタの年間売上高は28兆円だから、比率にすれば4%にも満たないのだけれど、それでもスンゴイお金だよね。1日あたり30億円近くを消費するんだから。

ただ、これだけあっても最近は研究開発費が足りないらしい。もちろん、その理由は自動車が関わる技術領域が果てしなく拡大し続けているからだ。

わかりやすい例でいうと、クルマの電動化がある。近年、モーターやパワートランジスタなどのデバイスが大きく進化しているが、なにか特別新しい“発明”があったわけではない。

トヨタもPHVシステムといった電動化技術の開発には膨大な研究開発費を注ぎ込む

パワー半導体素子などは、家電や重電で使われてきたものではサイズ的にも容量/耐久性の面でもクルマには不適。それを巨額の研究開発費を投じて、コンパクトで耐久性に優れたものにする。お金で時間を買う、という例だ。

もうひとつ例を挙げると、ABSで始まったクルマの運動性制御も膨大な研究開発費が注ぎ込まれる最前線だ。

ABSはブレーキのロックを防止するという単機能だったが、それがESPやVSCと呼ばれる横滑り防止装置と結びつき、さらにはトラクションコントロールやダイレクトヨーコントロールと統合されて、クルマの運動性全体を統合制御する方向に向かっていった。

ここまでクルマの動きを自由に制御できるようになれば、それが自動ブレーキや自動運転へ進化するのは必然。人間のミスをカバーするデバイスから、ついにはドライバーという人間をコンピュータに置き換える試みが始まろうとしている。

2016年のCES(家電見本市)で出展された自動運転の早期実験を可能にするトヨタ地図自動生成システム

クルマをこういう方向に進化させようとすると、車車間や路車間の通信インフラはもちろん、自動運転ソフトウェアがクラウド上のビッグデータを参照して制御を決定するといったことまで考えられてくる。

自動車会社と通信会社とグーグルとアマゾンとウーバーが合体したような世界。ホントにくるかどうかわからないけど、未来の自動車社会は果てしなくその領域を広げようとしているのは間違いない。

その昔、自動車メーカーはエンジン、シャシー、ボディなど、素朴にクルマ作りの開発だけをしていればよかった。

転機が訪れたのは1970年代だった。排ガス規制の施行によって、自動車メーカーはエンジンの排ガス浄化という新しい技術テーマへの対応を求められる。

メーカー各社は技術開発のための拠点を持つ。年々、研究開発費が増やされても技術領域の拡大で予算が不足気味?

それまで、単純に「よく走るクルマ」だけを考えていた自動車業界にとって、これは大きなパラダイムシフトになった。はじめて「走り以外の機能向上」に研究開発のリソースを振り向けなくてはいけなくなった。さらに、同時期に勃発した第一次石油ショックによって、クルマの燃費向上も大きなテーマとして浮上する。

その対応に電子制御が不可避になると、クルマにECUという小さなコンピュータが搭載されるようになる。これが“パンドラの箱”だったように思う。

個人的には、インターネットとシームレスに結びついた自動車にもワクワクするけど、その反動として徹底的にスタンドアローンでノスタルジックなクルマも、ある一定のシェアを獲得するんじゃないかと思いますがいかがでしょう?

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