スペーシアギアは見た目重視! 割り切りがお見事
ただし、だ。スペーシアギアが本格的にSUV、クロスオーバーモデルだと思うのは間違い。たしかにギア感ある内外装を備え、タフでワイルドな印象をスーパーハイト系軽自動車に与えてはいるものの、実は、最低地上高はノーマルスペーシアとまったく同じ150mmなのである。
つまり、軽自動車でSUV、クロスオーバーモデルの”雰囲気”を楽しみたい人向けと言っていい。世界に通用するミニマムサイズの本格クロカン、最低地上高205mmのジムニー。あるいは雪国ユーザーの要望もあって登場したと伝えられる、悪路や雪道に強い、乗り心地では軽自動車最上クラスの最低地上高の180mmのハスラーとは、そのキャラクター、走破性においては大きく異なるのである。
考えてみれば、全高1800mmもの、背の高さだけでなく、重心高も高いスーパーハイト系軽自動車の最低地上高をさらに高めたとすれば、全高はさらに高まることになり、走行安定性に悪影響が出る可能性があるということだ。本格的な走破性、最低地上高を望むなら、ジムニーやハスラーがあるため、スペーシアではデザイン的なクロスオーバーテイストにとどめた、とも言えるだろう。
タントはキャラクター的に追加設定の可能性はなし
では、本題である。なぜ、スペーシアのギアが一定の人気を得ているのに、N-BOXやタントが追従しないのか? N-BOXやタントにクロスオーバーモデルが出てこないのか? についてだ。
タントの場合は、助手席Bピラーレスのパノラマオープンドアを特徴とし、世界初の運転席最大540mmのロングスライドシート(Pレンジ時のみ機能。要解除スイッチ操作)を、助手席最大380mmスライドともに採用している。このことからも分かるように、子育て世代御用達のスーパーハイト系軽自動車として成立しているのだ。アウトドアテイストに仕立てて似合うか? と言われると、キャラクター的にも微妙である。
ダイハツ軽には、アウトドア、車中泊に向くウェイクがあり、シープ的なデザインの、街乗り、アウトドアのどちらにも対応できるタフトがあるため、似たような車種が3台になってしまうことも、タントに”ギア”的なモデルバリエイションが出てこない理由だと推測する。スズキの場合は、ジムニーは別格だから、ある意味、ライトなアウトドア派向け軽は、ハスラーとスペーシアギアの2台だけ、である。
フィット・フリードに続け! N-BOXは設定の可能性あり!?
つぎに、スーパーハイト系軽自動車の中でもっとも売れているホンダ N-BOXにもなぜ“ギア”的なクルマがないのか? については、可能性はなくはない、と予想したい。ホンダNシリーズはN-BOX、N-WGN、N-ONE、N-VANの4車種が現在揃っているが、もちろん、この中にアウトドアテイストあるグレードは存在しない。本格クロスオーバーモデルもなしだ。
しかし、登録車を見てみると、フィット、フリード、フリード+に今ではクロスオーバーテイストあるクロスターが揃い、フィットの場合は最低地上高まで高めているほどだ(フリード系はクロスターでも最低地上高はノーマルと同じ)。
よって、フリード寄りの、全高、重心への配慮から最低地上高はそのままの、N-BOXクロスターがあっても決しておかしくない。むしろ、スズキのハスラー、ジムニー、ダイハツのウェイク、タフトのような軽モデルラインナップがないのだから、Nシリーズのクロスオーバーモデルを待ち望むユーザーは少なくないと想像できるのだ。
ただ、ホンダはCR-Vや新型ヴェゼルを見ても分かるように、高全高、高重心を嫌い、走行性能を重視する自動車メーカーだから、なおさらN-BOXの最低地上高を上げる仕様は考えにくいのも事実。最低地上高を上げるとすればN-WGNのほうが現実的だが、車中泊対応となるとN-BOXやN-VANのほうが圧倒有利。そのあたりで悩んでいるのではないだろうか・・・。勝手な想像ですけど。
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