シエンタと超小型ミニバン存亡の歴史とは? 絶版車から人気車へ!? なぜ売れる?


2018年上半期の販売上位車種トップ10はコンパクトカーとミニバンがほとんどを占めた。ミニバン販売の1-2位には、5ナンバーサイズをフルに使ったセレナ、ヴォクシーが名を連ねるなか、計4万5417台、月平均7500台超を販売し、ミニバントップ3の一角に食い込んだのがトヨタのシエンタだ。

コンパクトカーと大差ないサイズに3列シート、7人乗りを成立させた“超小型ミニバン”のシエンタは、一度絶版となりながら復活した珍しい車でもあり、人気の割にクローズアップされる機会が少ない、平たく言うと少々地味な車種でもある。

しかし、その実力の高さは、2000年代初頭にかけて数々の超小型ミニバンが世に送り出され、そのほとんどが消滅しても、ホンダ フリードとともに生き残ったことが示している。なぜ、シエンタは売れ続けるのか? 日本ならではの超小型ミニバンの歴史から紐解く。

文:片岡英明/写真:編集部、TOYOTA、HONDA


実は歴史深い超小型ミニバン、その先駆けは?

日産 初代プレーリー(1982-1988年)/全長×全幅×全高:4090×1655×1600mm。まだミニバンという言葉がない時代に生まれたパイオニアだ

マルチパーパスの本格派ミニバンが誕生し、市民権を得るのは1990年代だ。

1990年にマツダはMPVを、トヨタはエスティマを発売している。そして1991年になると新世代ファミリービークルを掲げ、日産がバネットセレナを送り込んだ。このセレナの登場を機に、1ボックス離れが進み、小型車枠のミニバンが一気に増えていくのである。

が、それより早い時期に、我がニッポンには乗用車を発展させた優れたパッケージングのミニバンが存在したのだ。その最初の作品が日産のプレーリーで、これを追うように三菱はシャリオを発売した。

プレーリーは、短いノーズのなかにエンジンを収めた1.5ボックスデザインのマルチパーパスカーで、後席用のドアを大開口のスライドドアとしている。快適な居住スペースが自慢だが、ワゴン感覚の気持ちいい走りも売りのひとつだった。

「ミニバンはミドルクラス以上」という常識を破ったスパシオ

トヨタ 初代カローラスパシオ(1997-2001年)/全長×全幅×全高:4135×1690×1620mm。6人乗りの3列シートで、2列目は2人掛けというユニークなレイアウトだったが、続く2代目で消滅

ミニバンは1ボックスワゴンと同じように3列目のシートを装備し、6名から8名の乗車を可能にしている。3列目でもそれなりの空間が必要だから、ミニバンはミドルクラス以上に限定されていた。

この常識を覆したのがトヨタだ。1997年1月、コンパクトカーのカローラのプラットフォームを用い、ハイトパッケージングとして3列シート、6人乗りを可能にしたカローラスパシオを投入する。

注目の3列目は狭く「ときどき3列」といったモノだったが、いざというときには重宝した。この3列目のシートは脱着式で、車外に持ち出して使うこともできた。ドアは乗用車と同じようにヒンジ式の4枚ドアを採用する。

また、同じ時期にトヨタは、ターセル/コルサ系をベースにホイールベースを延ばし、後席をスライドドアとしたラウムを市場に放った。

いち早くバリアフリー、ユニバーサルコンセプトを掲げ、ウォークスルーやスライドドアによる乗降性のよさ、横開きゲートによる使い勝手のよさを提案している。5人乗りだけの設定で、3列目のシートはないが、設計思想はミニバンに限りなく近い。

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