シエンタと超小型ミニバン存亡の歴史とは? 絶版車から人気車へ!? なぜ売れる?

プレマシーなど一気に増殖した小型ミニバン

この2車のいいとこ取りをしたのが1999年春にマツダが送り出したプレマシーだ。カローラスパシオより少し大きい4.3mの全長だが、その分、3列目には余裕がある。

その気になればロングドライブできるほどのキャビンスペースを確保していたから子連れファミリーから愛された。

3列目は脱着式。移動させるのは重くて大変だったが、2002年のマイナーチェンジで格納式に変更されている。利便性は大きく向上し、これ以降は格納式サードシートが主流になった。2000年にはプレマシーより少し小さいディオンを三菱が送り込んだ。

マツダ 初代プレマシー(1999-2005年)/全長×全幅×全高:4320×1695×1590mm。2代目移行はボディサイズを拡大し、現行型の3代目は2018年に生産を終え、絶版に

21世紀になると全長が4.1m前後のミニミニバンが一気に仲間を増やすようになる。トヨタは2001年5月にカローラスパシオをモデルチェンジ。ホイールベースを延ばすとともにシートアレンジを変更し、実用性能をアップした。

そして、2003年9月にはスパシオより小さいシエンタを投入した。全長は4.1mと短いが、ホイールベースはスパシオより長く、キャビンも居心地がいい。後席の両側スライドドアも好評を博した。

積極的に個性的なマルチパーパスカーを送り出していたホンダも、ストリームの下のコンパクトクラスに、フィットをベースにした3列シートのミニミニバンを投入した。ヨーロッパの都市型電車をイメージした個性的なルックスのモビリオだ。

フィットからセンタータンクレイアウトを譲り受けているため、ボディサイズから想像するよりキャビンは広く、使い勝手も優れている。両側スライドドアの採用も女性ユーザーには好評だった。

日産 キューブキュービック(2003-2008年)/全長×全幅×全高:3900×1670×1645mm。2代目キューブに設定された3列7人乗り仕様。本体は3代目へとモデルチェンジしたが、キュービックは1代限りで消滅

一方、日産は2002年秋にキューブを第2世代にチェンジ。その1年後にはホイールベースを170mmストレッチし、3列目のシートを追加したキューブ キュービックを追加した。

全長は3.9mだから3列目は緊急用のスペースだったが、いざというときには7人乗ることができ、便利だった。

多数車種が消滅しても生き残ったシエンタ&モビリオの底力

ホンダ モビリオ(2001-2008年)/全長×全幅×全高:4055×1685×1705mm。小型ボディに「大人も座れてしまう3列目」を確保した稀有な存在で他車が消滅するなか、シエンタと並ぶ超小型ミニバンの盟主に

モビリオと、その刺客としてトヨタが送り込んだシエンタが牽引車となり、ミニミニバン市場は一気に拡大した。

上級クラスのミニバンと比べると3列目の居住性と座り心地は今一歩だが、子育てファミリーにはバッチリのサイズで、ビギナーや女性も持て余さない。

後席は両側ともスライドドアで、上級グレードはリモコンやスイッチ操作で開閉できる電動スライドドアを装備する。

フロアはフラットだから乗り降りしやすいし、チャイルドシートなども無理なく装着できた。2列目に座る子どもと親の距離も遠くないから、子どもも不安感なくドライブを楽しめる。

シートアレンジは多彩で、3列目のシートは片手で畳むことも可能だ。また、運転席まわりや後席には収納スペースが多い。

カップホルダーはたくさんあるし、床下収納も荷物の整理には便利だった。電動開閉式が一般的になったことにより、重いスライドドアのイメージが払拭されている。

2008年5月、ホンダはモビリオをフリードへと進化させた。これを追ってトヨタはパッソセッテを、ダイハツはブーンルミノスを発売する。が、小ぶりなボディサイズに加え、ヒンジ式ドアだったこともあり、販売は伸び悩んだ。

長寿を誇ったシエンタは10年夏に生産を打ち切った。だが、2011年5月に大がかりな改良を行い、復活。その後も安定して売れ続けた。

ユーザーにとってジャストサイズで使い勝手がいいことは善で、電動スライドドアの優位性が揺ぎないことをシエンタは証明している。

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