ウサギをエンブレムに使用するなど「かわいい」路線で人気のあるスズキの「アルトラパン(以下ラパン)」。2021年12月には、ベースである「アルト」がフルモデルチェンジをしたこともあり、派生車であるラパンも近々新型が登場するようだ(2022年6月頃と予測)。
ラパン(LAPIN、フランス語でウサギ)の現行型は2015年にデビューした3代目。歴代ラパンを振り返りつつ、新型アルトの姿から、4代目となる新型ラパンの姿を想像してみよう。
文:吉川賢一
写真:SUZUKI
「おしゃれなニューレトロ」と「絶妙なかわいさ」で人気モデルに
初代ラパンは、人気の5ドアハッチバック軽セダン「アルト」の派生車として、2002年に誕生。アルトの正統派路線とは一線を画し、女性をターゲットユーザーとした商品開発がなされており、四角い外観や立ち上がったフロントウィンドウ、ファニーなフロントフェイスなど、レトロ感が漂うオシャレなエクステリアで、一躍人気モデルとなった。なんと、ユーザーの9割が女性だったそうだ。
本物のレトロではなく、若者が「レトロ」だと感じられる要素を上手く抜き出した、「ニューレトロ」といったデザインは、日産の「Be-1」や「パオ」にも通じるものがある。ちなみに、2003年には、ターボエンジンに5速MTを合わせたスポーツグレード「SS」を追加。「かわいい」だけではなく、ローダウンサスや専用アルミホイールなど、走り好きな男性をくすぐるグレードも存在していた。
続いて、2008年に登場した2代目ラパンは、初代モデルのニューレトロ感を見事に継承しながらも、ボディの角のRを大きめに取り、柔らかさを表現。初代モデル同様、こちらも人気モデルとなった。また大幅な燃費改善を行っており、NAエンジン車は24.5km/L(2WD、CVT)を達成している。また先代に続いて投入したターボモデルでも23.0km/L(2WD、CVT)を達成。中身を磨いて商品力を向上させた。
現行型である3代目ラパンは2015年に登場。若い女性が好む「可愛さ」は追求しつつも、子供っぽさを出さない、を目指して設計されたという。ウィンドウ面積が狭くなるように、ドアパネルの面積を増やしてバランスを修正。ボディの下側を樹脂モールで覆ったことで、アクティブな雰囲気を出すことにも成功した。
インテリアでは、まるでテーブルのようにも見える木目調のインパネや、天井のキルト地など、素材の使い方も上手い。ベースであるはずのアルトとはまったく違う、ラパン特有の世界観が、見事に表現されたデザインだ。
現行型ラパンは、被害軽減ブレーキや誤発進抑制機能、車線逸脱警報、ヒルホールド機能といった先進安全装備系も、可能な範囲で備えてはいるが、追従式クルーズコントロールや操舵支援技術などが未搭載であり、他メーカーに比べると技術の遅れが目立つ。特に、トヨタの先進支援技術を享受できているダイハツの軽自動車と比べると、2歩ほど後れをとってしまっている。
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