ベンツもBMWも真っ青!? マツダCX-60の直6ディーゼルは日本車の大革命なのか

まるで高級サルーンばりの走り!! マイルドハイブリッドとは思えないスムースな走りが自慢

 個人的に特に感心させられたのは、3.3L直6ディーゼル+48Vマイルドハイブリッドのe-SKYACTIV Dだ。事前に受けたレクチャーでは、「大排気量化と多気筒化により、トルクアップとていうかの高効率領域を拡大し、ごく低回転域の非効率領域を小さな電気モーターでアシストすることで、環境性能を向上させたモデル」と聞いていたのだが、実際にステアリングを握ってみると、パワートレインもシャシーも驚くほどパワフルかつ高レスポンス。全長4.7m強、全幅1.9m弱の大柄なボディを全く意識させない、スポーティな走りと、直6ならではの極めてスムーズな乗り味を味わわせてくれたのだ。

 また特筆すべきは、加減速時に全くと言って良いほどピッチング方向の動きを感じさせない車体の挙動だ。これは前後サスペンションの作動軸を合わせるとともに、ピッチングセンターを車両の後方に設定する事で実現したもの。結果として走行中は常にフラットな姿勢を保つ事に成功している。バウンシングや振動もピタッと抑えられているので、まるでラージクラスのラグジュアリーサルーンのような乗り心地が味わえるのである。

EVシフトに待ったなるか!? デカいのに19km/Lという低燃費が超魅力的

 これほど上質感に溢れた走りを実現しているとなると、おそらくヨーロッパや北米でも驚きを持って市場に迎えられるはずだ。正直に言ってこのクラスでCX-60に動的質感の点で匹敵するモデルは見当たらない。このCX-60のe-SKYACTIV Dでドイツのアウトバーンを走ったら、1日1000kmでも苦にならないだろう。しかも、燃費は19km/Lに迫るのだから、財布にも環境にもエコだ。EVへの乗り換えに二の足を踏んでいるユーザーや、「やはりEVは不便」と感じているユーザーに大きくアピールするはずだ。

日本仕様の内装は明らかとなっていないが、メーター内には大型モニター。そしてベンチレーションシートなど高級車さながらの機能が自慢
日本仕様の内装は明らかとなっていないが、メーター内には大型モニター。そしてベンチレーションシートなど高級車さながらの機能が自慢

 デザインの点でもCX-60は、さらに一段ステップを上った様に感じる。この記事の執筆時点で筆者は、先行して発表されたヨーロッパ仕様の画像しか見ていないが、マツダの「魂動デザイン」は、CX-60でさらに洗練されつつ、SUVならではの力強さと、プレミアムカーレベルの精緻な作り込みが感じられるものに進化している。海外試乗において、「MAZDA」は以前から「走りが良くてスタイリッシュなクルマを作るブランド」として認知されているが、今後はここに「とても上質な」というイメージが加わることだろう。

欧州は燃料も電気代も高騰中……今こそマイルドハイブリッドを再注目すべき時

BMWをはじめとする欧州プレミアムブランドたちはEVにシフトしつつある。だが、マツダは真逆ともいえる手法で勝負に出るのだ
BMWをはじめとする欧州プレミアムブランドたちはEVにシフトしつつある。だが、マツダは真逆ともいえる手法で勝負に出るのだ

 欧米諸国がEVラインアップの拡大に向けてフルスイング状態の中に、48Vマイルドハイブリッドとはいえ、まさかの新開発直6ディーゼルエンジンというのも、強烈なインパクトだ。ウクライナ危機の影響で、ヨーロッパは燃料価格が高騰し、軽油1Lが日本円で300円近くにまで値上がりしているが、値上がりしているのは電気代も同じ。またバッテリーの原材料も価格が高騰しているので、EVの普及には大きなブレーキがかかり始めているのだから。

 その点、48VマイルドハイブリッドやPHEVは、ピュアEVよりバッテリー原材料価格の変動の影響は受けない。また再生可能燃料の普及を目指す「eFuelアライアンス」に参加しているマツダだけに、今後登場するラージ商品群のモデルは、バイオ燃料や合成燃料への対応も考慮されている。2050年のカーボンニュートラルへ向けて、EVだけじゃない、オルタナティブな方法論を提示する大きな契機になるかもしれない。すでにICEの開発をストップしたいくつかのメーカーが悔しがる姿が目に浮かぶ。

【画像ギャラリー】内装のレベルが大幅アップ! 新型CX-60の質がヤバい(14枚)画像ギャラリー

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