■セダンユーザーの期待を全て背負わせた?過度な期待がアルテッツァを潰す
初代アルテッツァは、先行したイメージと完成車の差が大きかった。
ベンチマークにされたのは、車重1トンを切るレビンとトレノだ。対して、アルテッツァの車重は最も軽いモデルで1.3トンを超える。AE86のような、軽さを武器にした走りを想像していた人たちは、アルテッツァを酷評した。
1.5トン以下のセダンとしては、高い次元の走りを実現していたと筆者は思うのだが、当時アルテッツァに寄せられていた期待は、さらに高いものだったのだろう。
ならばと、欧州Dセグメントセダンを意識して、高級路線を歩み出したアルテッツァ。北米では、レクサスISとして販売され、相応の人気を得たモデルに成長している。ただし、内装を中心に、かなり手を加えられたISだからこそ支持された面も大きくあり、ISよりグレードの落ちるアルテッツァは、日本国内に自らを落ち着ける場所がなくなってしまった。
メーカー、ユーザー、評論家など、多方面から様々な期待を背負い、その期待に応えるべく変化をしたものの、自らの進むべき方向性を見失ってしまったアルテッツァ。その系譜は、現在もレクサスISとして残っているが、願わくはトヨタにもこうしたスポーツセダンの血が、今も継承されていて欲しかったと思う。
現行型のGR86は、どちらかといえばAE86よりもアルテッツァの乗り味に近い。そして価格も最終型のアルテッツァ並みだ。改めて今のトヨタラインナップを見ると、200万円台でアルテッツァのようなスポーツセダンがあったら、どんなに魅力的だろうと考えてしまう。
初代カタログには「はじめての世界へ。」と記されているが、この世界はどんなものだったのだろうか。クルマの魅力を凝縮した、アルテッツァの世界をじっくり見てみたかった。
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