クルマの動力として、100年以上に渡り中心的存在になっている内燃機関(エンジン)。現在はレシプロタイプの内燃エンジンが主流だが、そもそもこのレシプロってどんな意味があるの? さらにボクサーやロータリーなど、今回は知ってるようで意外に知らないエンジン名称の由来を紹介していこう。
文/長谷川 敦 写真/メルセデスベンツ、スバル、トヨタ、マツダ、Newspress UK、FavCars.com
【画像ギャラリー】知ってました? エンジンの名称の由来をもっと詳しく!(15枚)画像ギャラリーその意味はごくごくシンプルだった? 「レシプロエンジン」
そもそもレシプロエンジンとはどういう意味なのだろうか? 元の言葉は英語で「reciprocating engine(レシプロケイティング エンジン)」と呼ばれていて、この「reciprocating」の意味は「往復運動する」だ。つまり、ピストンがシリンダー内を往復することを指している。
レシプロ(リシプロ)ケイティングという言葉は日本人には発音しにくく、これがいつの間にか省略されてレシプロになった。つまり、英語圏の人に「レシプロエンジン」と言ってもすぐに通じる可能性は低い。
ここまでくるとおわかりだと思うが、一般的なガソリンエンジンはレシプロで、燃料や点火方式が異なるディーゼルエンジンもレシプロエンジンの一種ということになる。以前はガスタービンエンジンや、おなじみロータリーエンジンなどの対抗勢力もあったが、こと内燃エンジンに関してはレシプロの天下がまだまだ続きそうだ。
パンチを打ち合う拳闘士? 「ボクサーエンジン」
日本ではスバルがお家芸のひとつにしている「ボクサーエンジン(boxer engine)」。まずはその響きがカッコいい「ボクサー」は、文字通りボクシングを行う選手のこと。
日本語では「水平対向エンジン」とも呼ばれるボクサーエンジンは、ふたつのシリンダー&ピストンが互いに向き合うように配置されるのが特徴で、エンジン回転中のピストンが、まるでパンチを打ち合うボクサーのように見えることからこの名称となった。
相対するピストンが互いの慣性力を打ち消し合うため振動が少なく、直列やV型エンジンに比べて重心も低くできるボクサーエンジンにはメリットも多い。このメリットを重視して前出のスバルやドイツのポルシェは主力モデルのエンジンをボクサーにしている。
しかし、エンジンの幅が広くなってしまい、ロングストローク化もしにくいなどのデメリットがあるのも事実で、ボクサーエンジンを採用しないメーカーも多い。
ボクサーエンジンと混同されやすいのが、同じように向かい合うピストンを水平に配置する180度V型エンジンだ。ボクサーエンジンが各々のピストンに専用クランクピンを持つのに対し、180度V型エンジンでは相対するピストンはクランクピンを共有する。回転中の180度V型エンジンでは、片側のピストンがクランクシャフトに近づくと、反対側のピストンはクランクシャフトから離れるため、ボクシングの打ち合いのような動きにはならない。
1970年代国内スーパーカーブームの主役だったイタリアのフェラーリ365GT4BB(ベルリネッタ・ボクサー)やその後継機種512BBiのエンジンが、実はボクサーではなく180度V型12気筒だったのはご愛敬と言ったところか?
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