一体どこが回るのか ? 「ロータリーエンジン」
一時はマツダ製スポーティモデルのフラグシップエンジンとして脚光を浴びた「ロータリーエンジン(rotary engine)」。このロータリーエンジンは、レシプロとはまったく違うサイクルで回転力を生み出している。
レシプロエンジンがピストンの往復運動を回転運動に変換しているのに対し、ロータリーエンジンではローターと呼ばれる回転子が回ってその力でシャフトを駆動する。ローターが回る(ローテート)ことからロータリーエンジンと呼ばれるようになった。
ロータリーエンジンは、レシプロに比べてコンパクトにできることや、回転運動をそのまま出力として取り出せるために機構がシンプルになること、そして振動が少ないなどの利点を持っている。しかし、レシプロよりも低速トルクが少なく、エンジンオイルの消費量が多いなどの難点もある。
そして最大の問題が燃費だ。ロータリーエンジンは燃費性能においてはそれほど優秀とは言えず、さらには実質マツダ一社のみが開発していたため革新的な新技術も生まれにくい。それゆえにマツダ自体も2012年のRX-8を最後にロータリーエンジン搭載車の生産を中止している。
このまま消えゆく運命にありそうなロータリーエンジンだが、実は後出の水素エンジンとの相性が良く、こちらの方面で復活する可能性もある。さらには内燃エンジンで発電して電動モーターで走行するシリーズハイブリッドカーの発電機として復活するという話も聞く。
いまだに根強い人気を持つロータリーエンジンの今後に注目していきたい。
発明者の名前がそのまま形式名に「ディーゼルエンジン」
ガソリンエンジンでは必須の点火プラグを用いずに、圧縮した混合気の自動着火によって爆発力を得るのが「ディーゼルエンジン(diesel engine)」。このエンジン形式の歴史は古く、今から130年前の1892年には圧縮点火エンジンの特許が取得されている。
この特許を申請・取得した人物の名がルドルフ・ディーゼル。そう、今日に続くディーゼルエンジンの名称はこのドイツ人技術者の名前に由来している。
当初は船舶や産業用の動力に利用されていたディーゼルエンジンも、1907年に特許が切れると世界の自動車メーカーが開発に本腰を入れ、1923年にはベンツが史上初のディーゼル自動車を登場させる。
その後の発展の歴史はご存じの人も多いだろう。近年は排気ガス不正問題などで評判を落とした感のあるディーゼルエンジンだが、安価な軽油を燃料にすることや、低燃費などの優れた点は多く、さらなる進化も期待できる。
なお、ディーゼルエンジンも先に紹介したレシプロエンジンの一種である。
水素自動車って紛らわしくない? 「燃料電池/水素エンジン」
トヨタ MIRAIの登場によって注目を集めた「水素自動車」。これはもちろん水素を燃料にするクルマなのだが、MIRAIは水素と酸素を化学反応させて電気を作り出し、この電力でモーターを回して走行する。こうした反応回路(装置)を燃料電池と呼んでいる。
実は、水素自動車と呼ばれるもうひとつのカテゴリーが存在する。それは水素をガソリンや軽油の代わりに使って内燃エンジンを動かすというもの。有限な石油を原料にしたガソリン&軽油ではなく、自然界に豊富に存在する水素を利用することからエコであり、有毒な排気ガスをほとんど出さないのも特徴のひとつ。
以前は水素自動車と言えばこちらの内燃エンジン車を指していたが、MIRAIなどの燃料電池車の台頭により、多少の混乱を招く結果となっている。
もちろん、どちらのタイプも水素自動車であることに変わりはないが、誤解を避けるために、水素で発電するタイプを燃料電池車と呼ぶことが多い。もっとも、この「燃料電池」という呼称自体も少々わかりにくいのは事実だ。
水素自動車に利用する水素は水や天然ガスなどから生成することができるが、まだまだガソリンや軽油に比べると手間やコストがかかる。それでも原料自体は豊富にあり、将来的には主力の燃料になる可能性も十分にある。
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