日本生まれのフォルクスワーゲン? 「日産VW サンタナ/フォルクスワーゲン サンタナ」
自動車の貿易に関する海外との摩擦が生じていた1980年代、日産は海外製モデルを国内製造・販売することでこの摩擦を緩和しようと試みた。そこでドイツのフォルクスワーゲン(VW)が販売していたFF4ドアセダンのサンタナが国内で製造されることになった。
ここまで紹介してきた他モデルのようなOEM供給ではなく、設計はVWで、その製造を日産で行うノックダウン生産方式が採用され、1984年2月に日産製のVW サンタナが販売開始となる。
と言ってもドイツをはじめ欧州で走るサンタナとは異なり、日本の5ナンバーサイズに合わせるためにサイドモールは薄型化され、ヘッドライトやラジエターグリルも日本向けに変えられていた。
だが、当時のハイテク満載の国産車に比べて質実剛健なサンタナの販売は苦戦し、1990年の生産終了までの販売台数はわずか5万弱にとどまってしまう。すでに1988年には日産とVWの提携も解消されていて、和製サンタナは短命に終わった。
セールスこそ伸びなかったものの、日本とは異なる思想で作られたサンタナを日産で製造したことが、日産に有形無形のノウハウを残したことは事実で、後に名車と呼ばれる初代日産 プリメーラの誕生の裏にサンタナ製造の経験があったとも言われている。
現在でもメーカーをまたいだ兄弟車の存在は多いが、ほとんど同じクルマを異なるメーカーで販売するというケースは減っている。これもまた時代の流れなのだろうか。
【画像ギャラリー】覚えていますか? 連携が話題を呼んだクルマたち(14枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方