必要ないどころか危険な「内がけハンドル」
いまでも意外とやっている方が多い、内がけハンドル。据え切り時のステアリングが重たかったころに、力を入れるために誕生したハンドルの回し方のテクニックのひとつですが、最近のパワステは非常に軽いため、もはややる必要はないでしょう。
大きくハンドルを回すときに、手を裏返してハンドルを掴もうとすれば、肩や背中がシートバックから離れてしまい上体が安定しませんし、ハンドルを切りすぎてしまう可能性もあり、また、緊急時に逆方向へハンドルを切ることもできなくなります。安全運転の観点から、昨今のクルマではやめた方がいいですが、パワステが壊れたときや、パワステの無いような旧車のオーナーになったときには、思い出してみると役立つかもしれません。
目障りになる可能性もある「ポンピングブレーキ」
ABSがまだなかった時代に、ブレーキングでタイヤがロックしたときに、一瞬、ブレーキをゆるめてロックを解除し、再びブレーキを踏み直すテクニックです。渋滞車両に追いついたときにも、後続車へ「停車する」ことの合図として、3度に分けてブレーキを踏むこともありました。現在はABSが標準搭載されていますので、ドライバーが足でブレーキをコントロールするよりも遥かに短い距離で停止できます。また渋滞時の合図も、最近ではハザードランプを付けるようにとアナウンスされるようになりました。
やってはダメではないですし、むしろいまでも教習所で教えられることもあるようですが、最近の明るすぎるテールランプのクルマで、チカチカとポンピングブレーキをすると、後続車が目障りに感じることもありますので、使うシーンは適切に選ぶのが大切でしょう。
「オーバーステア/アンダーステア」
オーバーステアやアンダーステアとは、本来はクルマのステア特性を表す言葉。オーバースピードでコーナーに突っ込み、ステアリングを切ったのに曲がらないようなときに、よく「アンダーが出た」といいますが、その使い方は、本来の意味合いとはちょっと違います。
現代の一般的なクルマのステア特性は、弱アンダーステアになるよう、タイヤやサスペンションの設計がされており、極端なステア特性のクルマは存在しないため、リアルワールドではオーバーステア、アンダーステアといったステア特性を語る機会はありません。今でも設計的にはステア特性は確認していますが、タイヤのグリップが低い時代の名残であり、こんな言葉もあったなあと、記憶にとどめてもらえればよいかと思います。
「ブレーキを残す」
コーナーに進入するタイミングで、減速を極力遅らせて、クリッピングポイントの近くまでブレーキを残しながらステアリングを切り、フロントに荷重をかけるコーナリングのテクニックです。前輪に荷重が乗り、リアの荷重が抜けているためクルマは向きを変えやすく、「クルマを曲げるテクニック」といえなくはないのですが、減速のためにタイヤの前後グリップを使っているので、左右方向のグリップ限界は下がっており、グリップの低いタイヤを無理やりこじる、摩耗が進みやすい運転方法でもあります。もう忘れた方がいいドラテク用語でしょう。
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以前は、公道であっても必要だったドライビングテクニックも、安全技術の向上で、そのほとんどが必要ないものとなっています。現在は、ACCやステアリングアシストといった先進装備を上手に使いこなせることの方が、ずっと価値が高いと思いますが、それでも、万が一のときのため、覚えておいて損はないものもあります。ぜひ頭の片隅に置いておいてください。
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