■依然としてブランドイメージは高いのだが……
ブランドイメージは依然として高いスバルに何が起きているのだろう。ふたつの要因を挙げておく。
まず、ひとつ目は2017年まで車両開発のトップだった人物が、パワーユニット戦略を10年以上に渡って行わなかった点だと思う。当時、すでに環境の時代が足音を響かせて近づいてきていた。当時のスバルは絶好調の業績を上げており、新技術への投資だって可能な状況にあったと思う。なのにまったく投資せず。
ふたつ目は当時の経営陣がアメリカ一本足打法を選んだこと。日本と欧州、大洋州向けのクルマ作りを止めている。燃費のいいコンパクトカーを作ったって利益率が低いという判断により、アメリカで売れるクルマばかりを作った。
中島飛行機から連綿と続いてきた技術オリエンテッドから、利益率オリエンテッドに路線変更したのだ。かくして欧州市場はいつ撤退してもおかしくないほど低迷中となっている。
■スバルの希望は開発トップを務める藤貫哲郎氏の手腕?
日本市場はアイサイトで存在感を示したものの、今やADAS技術は当たり前になってしまい、絶対的な性能で他社に並ばれた。アイサイトでスバルを選ぶ人も大幅に減少。燃費のいいパワーユニットはなく、WRCから撤退したことで高性能イメージすらなくなってきた。直近で見るとスバルのストロングポイントは見当たらない。販売台数が落ちるのも当然のことだろう。
現状を打開する方法はあるのだろうか? 残念ながら電気自動車のソルテラを見ても、質感や性能で同級生の日産ARIYAに届いていない。世界市場を見ると、ヒョンデのアイオニック5に代表される強敵が多数。
ソルテラそのものの販売も国内は年内900台という目標に対し、半分にも届いていないらしい。ソルテラをはじめ、現在のラインナップでは厳しいと考えてよかろう。
そんなスバルの望みは、藤貫哲郎さんという3年前からスバル開発のトップになっているクルマ通だ。肩書きは執行役員/CTO(最高技術責任者)/技術統括本部長兼技術研究所長と長い(笑)。
ここまで長いとむしろ何が担当なのかわからないです。以前からさまざまな機会に話を聞いてきたのだけれど、クルマに対する造詣の深さは現在すべての自動車メーカーの技術者のなかでナンバーワンだと思う。
クルマの開発には時間がかかる。藤貫さんがゼロからスタートしたクルマは早くて来年あたりから出てくるだろう。スバルそのものの技術力は素晴らしく高い。アメリカ一本足打法(パワーユニットにお金をかけないのもアメリカメインという理由による)という今までのスバルの流れを変えてくれたら、低迷から上昇に転じる可能性があると思う。藤貫さんに頑張って欲しい。
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