【ノア対セレナe-POWER対ステップワゴン】生死を分ける「ハンドリング」はどれが一番!?

 全高が1800mmを超えるBOX型ミニバン。圧倒的な室内空間と多人数乗車の利便性から人気が高いジャンルだが、では操安性能で見ていったらどれがベストなのか!?

 トヨタノア、日産セレナ、ホンダステップワゴンの定番人気トップ3の最新ハイブリッドモデルを、厳しいテストで『安全性』を徹底的にチェックしていこう!!

※本稿は2018年4月のものです
文:松田秀士、ベストカー編集部/写真:池之平昌信
初出:『ベストカー』 2018年5月10日号


【CHECK1】 スラロームテストでわかったこと

 ミニバンは重心高が高いのでスラロームによって左右に振られる時の揺り戻しを再現することができ、走行時の安定性を見るのにうってつけのテストだ。

スラロームテストは図のような20m間隔で6本設置したパイロンをスラロームして50m先のUターンポイントで折り返して再び同様にスラロームして戻ってくるコースで実施した。タイム的には30秒程度のコースとなる。タイトな左右の切り返しを連続して行うことで操舵に対する応答性や挙動の変化、スタビリティの高さなどを総合的に確認することができる。もっとも動かしやすかったのはノアだが、スタビリティまで含めたトータル評価ではステップワゴンが一歩リードした

 まずスラロームでタイムもよくハンドリングもフィットしていたのがステップワゴン。サスペンションそのものは比較的ソフトでクルマの挙動もわりと大きいのだが、フルにロールした時のオーバーシュート(過剰ロール)が少なく安定感がある。

ステップワゴンハイブリッド

 ステアリングを切り込んだ時のフロントタイヤのグリップも深いレベルまでキープしてくれるので、逆方向への切り返し時に余計な動きが起きず、安定して次のパイロンへのアプローチができる。ステップワゴンは前後のバランスにサスペンションの動きがとてもバランスしていた。

 次にセレナだが、こちらはリアがとてもしっかりしていてハード系のサスペンション。これによってフロントサスペンションがリアに比べてより動く。そのためリアの安定感は高いがすべての荷重がフロントに集中したような印象があり、フロントサスペンションも激しく攻めるとオーバーシュートする。

セレナe-POWER

 その結果切り返し時など、一気に荷重が移動する時にアンダーステアを誘発してしまう。これがそのままタイムに現われた結果だ。

 ノアは全体的に1番サスペンションが柔らかく、左右の切り返し時のバランスはいいのだが、切り返し時で一気に荷重が移動する時にリアタイヤが先に限界を迎えてしまう。このため挙動が乱れるのでスタビリティーコントロールが介入。

 タイム的にはステップワゴンの次で悪くはないのだが、スタビリティーコントロールが介入しないようにギリギリのところを攻めた結果。つまり早く走ろうとすると1番難しいクルマだった。

【CHECK2】 緊急回避能力はダブルレーンチェンジでハッキリと差が出る

 ダブルレーンチェンジは高速道路などを走行中に前走車の荷物の落下など、障害物が突然前方に現われた時にそれを回避する性能を試すもの。

 したがって高速から一気にステアリングを切り込み、その時の挙動に対する安定性を見る。今回のテストでは実際に何km/hまで安定性を保てるのかをISO3888により規定されたコースを設定し、チェックしてみた。

ダブルレーンチェンジテストはISO3888により規定されているコースレイアウトにしたがって実施した。3.5m幅のレーンを走行し、緊急危険回避を想定した車線変更を行い、元の車線に戻るという動き。通過できる限界速度を測定するとともに、通過時の挙動を確認した

 限界速度は3車ともほぼ平均したもの。興味深かったのはノアが95km/hとほかの2台を若干リードしていたことだ。

 ノアはスラロームテストでリアの安定性に若干不安を抱いたが、このテストではスムーズに回避することができた。つまりリアサスペンションがオーバーシュートするまで攻め込まなければ安心して回避できることがわかった。

ノアハイブリッド/通過速度95km/h……3車中、もっとも限界速度が速かったのがノアハイブリッドで95km/h。操舵に対するフロントの反応がシャープでスパッスパッと向きを変えるのだが、攻めすぎるとリアのスタビリティにやや甘さがあり、修正舵を必要とする場面もあった

 セレナに関してはほか2台よりも幅狭の195タイヤでしかも15インチだ(ほか2台は16インチ)。それでも92km/hを記録した。スラロームでも感じたようにリアの挙動が3台中1番しっかりしていて、ステアリングを怖がらずに切り込むことができる。その時一気にロールしてフロントサスペンションのバンプラバーに当たり、お辞儀をしたフィーリングになるのだが、やはりリアがしっかりしているので高速でのレーンチェンジが可能なのだ。

セレナe-POWER/通過速度92km/h……元のレーンへの切り返し時の限界速度は92km/hと他車とほぼ同レベル。操舵に対する車体の反応はやや遅れ気味で、動きも大きい印象。基本的にアンダーステアが強く、これ以上速度をあげていくと曲がりきれなくなるが、リアは安定している

 一般的なドライバーにはこの点が安心して回避動作を行える理由になるだろう。タイヤがプアーであることを鑑みれば、かなり高い回避能力を持っているといえる。

 ではステップワゴンはどうか。回避初期のステアリングを切り始めた時の応答感はちょうどよく、不安も感じない。ただ切り返し時にはっきりとオーバーシュートが起きるので直進状態に戻すのに時間を要する。

ステップワゴンスパーダハイブリッド/通過速度92km/h……同地点での限界速度はメーター読み92㎞/hでセレナと同じだったが、操舵に対する車体の反応は機敏で写真を見てもわかるようにレーンチェンジ時のふくらみも少ない。安定性は高く安心してダブルレーンチェンジを通過できた

 これは乗り心地などを考慮してサスペンションの初期をスムーズにしている結果、挙動の収束に若干時間を要していることが影響したのだろう。とはいえサスペンションの動きは素直なもので、3車のなかではイチバン直感的なステアリング操作ができる。つまり、人の感覚に近いハンドリングを実現しているといえる。

【CHECK3】 ブレーキ性能が生死を分ける! その結果はいかに!?

 ブレーキの性能は生死を分ける重要なもの。単に、そのクルマの持つ制動性能だけでなく、ペダルフィールやアクセルからの踏み換えやすさ、ミスのないペダルレイアウトも重要だ。幸い、今回の3車にペダルレイアウトで不満を感じることはなかった。

 テストは100km/hからのフルブレーキを行い、停止するまでの距離を測定した。筆者はもともとF3000などをドライブしたレーサーなので、踏み換えの早さと踏力には自信がある。ブレーキペダルに触れた瞬間からMAXで蹴飛ばすように踏み込み、その瞬間からABSを作動させる。

 各車2回のトライを行ったのだが、興味深いのは3車とも2回目のほうが停止距離を縮めていること。ディスクローターがある程度熱くなったほうがよく止まる、と理解するべきだが、ステップワゴンセレナは1回目マスターバッグ(倍力装置)の立ち上がり遅れを感じた。

 ノアが優秀なのは、減速中もリアに荷重がしっかり乗る姿勢を維持し、リアブレーキがしっかり仕事をしているから。ほか2台は多人数乗車に合わせた姿勢なのか、前のめりなのが停止距離の差となっているのではないだろうか。

■総括

 3車とも燃費性能を重視した電動テクノロジーを持っているので、バッテリーなど補器類の室内スペースを配慮した配置レイアウトがハンドリングに及ぼす影響にも着目し、テストした。

 最もバランスがとれていたのがステップワゴン。ステア操作によってクルマが左右に振られた時にロールを押さえ込むのではなく自然にロールさせるのだが、ロールの初期、中期、終期のロールスピードコントロールがとても上手にマネジメントされている。

ステップワゴン

 狙ったラインをトレースさせるのにあまり深く考える必要はなく、素の感覚で操作できるところが評価できる。

 ステップワゴンに近いフィーリングなのがノアで、サスペンションのフリクションのないストローク感は高評価。ブレーキ性能など1番重要なものをしっかり押さえている。多人数乗車にだけに偏ることもなく、1人乗りでドライブしていても安心感のあるセッティングだ。

 セレナは加速感を含めたドライバビリティが1番スポーティで、チューニング系の乗り味を好むドライバーにはオススメ。トランスフォーマーを身に付けたような、クルマに守られているような安心感がある。

セレナe‒POWERは195/65R15サイズのエコタイヤ装着ということもあり、205サイズのブリヂストンTURANZAを履く2台に対して操安性の面で及ばなかったのは当然の結果ともいえる。もともとのチューニングの狙いがほかの2台よりも操安性能重視ではなかった、という側面はあるかもしれない

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