日本提案の国際基準を多数採用!! トラック・バスの「後退時警報装置」搭載義務化へ

日本提案の国際基準を多数採用!! トラック・バスの「後退時警報装置」搭載義務化へ

 国土交通省がトラック・バスへの「後退時警報装置」(バックアラーム)の搭載義務化を決定したと報じられている。バックアラームの国際基準が国連の自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)で合意されたことを受けたものだ。

 国内では、バックしてきたトラックに視覚障がい者がはねられ死亡する事故が2015年に起きた。その後、新型車にバックカメラが義務付けられたほか、バックアラームの義務化も望まれていた。

 ただ、トラックの「バックします」や「左に曲がります」などの警報音に対して、騒音の苦情が寄せられることもあり、搭載車は以前より減っているのが実状だ。

 義務化により状況は変わるのか? 併せてトラックドライバーの安全装置に対する意見を紹介する。

文/トラックマガジン「フルロード」編集部・鰻さん・みゆさん・ひろしさん、写真/フルロード編集部・かんちゃん・尾山ママ・デンソー・ミックワークス
※2022年6月発売「フルロード」第45号より

【画像ギャラリー】トラック・バスで義務化される予定のバックアラームとその搭載車(9枚)画像ギャラリー

日本提案の国際基準で合意

 2022年6月21日~24日に、スイス・ジュネーブにおいて第187回自動車基準調和世界フォーラム(WP.29)会合が開催された。WP.29は国連欧州経済委員会の傘下組織で、自動車の国際的な相互承認の推進、国際基準の制定などを目的とした国連機関だ。

 今回の会合では基準案作りを日本が主導し、日本が提案した国際基準が多数合意された。概要としては次のようなものだ。

1.自動運転や安全運転支援の技術の高度化に対応する国際基準改正の合意
2.後退時警報装置の国際基準の合意
3.自動車騒音対策強化に対応する国際基準改正の合意

 具体的には、1に関しては「自動車線維持システム(ALKS)」やトラック・バス等の衝突被害軽減ブレーキシステム(AEBS)」等の基準改正、2に関してはトラック・バス等の後退時の音による警報装置(いわゆるバックアラーム)の技術要件、3はより実際の交通環境を反映した試験条件等で合意に至った。

 AEBSでは歩行者に対する試験が新たに追加されたほか、静止車両に対する試験の要件が厳しくなった。自動運転ではALKSに加えて、上限速度の引き上げ(60km/h以下から130km/h以下に)、車線変更機能の追加(乗用車に限る)など協定規則が改正された。

国内で義務化が望まれるトラック・バスのバックアラーム

 いっぽう、トラック・バスの周辺の歩行者等に対する安全対策として、バックアラームなど音による適切な情報提供のあり方や技術要件について、環境面への影響も踏まえた議論が行なわれた。WP.29の専門家会議では日本が議長国を務めている。

 その背景にあるのが2015年に国内で起きた死亡事故だ。徳島市内の市道で全盲の男性がバックしてきたトラックにはねられ、一緒にいた盲導犬と共に死亡する事故があった。

 この事故を受けて2022年5月以降に発売する新型車からバックカメラが義務付けられたほか、音による警報装置の義務化が望まれていた。

 国際基準の合意を受けて、国土交通省は車両のバックを周囲に音で知らせる「後退時警報」の搭載をトラック・バスに義務付ける方針を固めたと報じられている。

 なお、国際基準として正式に成立するのは来年1月ごろとなる見通しで、国内導入もそのころとなる。国内での基準は、有識者らによる議論と、道路運送車両法に基づく保安基準の改正を経て、周知期間を置いて適用する。

 国際基準案ではバックアラームの音量は45~95デシベルで決着した。ちなみに人の声でいうと普通の声が約50デシベル、救急車のサイレン(直近)は80デシベルほどだ。一般的に「静か」と感じるのが45デシベル以下とされる。

 現在、バックアラームの搭載は任意で、音量や音質の基準もない。深夜や早朝に稼働することが多いトラックには住民から騒音に関する苦情が寄せられることがあり、アラームが搭載されていてもスイッチを切っているドライバーも多い。

 実際にはバックアラームやウインカー連動ブザーを搭載するトラックは一昔前より減っているのが実情だ。

次ページは : 安全装置へのドライバーの意見は

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