スープラとアリスト、セリカとカルディナも同じエンジンを活用
トヨタもバリエーションが豊富だから、いろいろなクルマに高性能エンジンを転用している。その筆頭が1990年代に一世を風靡した2491ccの“1JZ-GE型”と、これをスケールアップした“2JZ-GE型”直列6気筒、そして電子制御スロットルシステムを採用した“2JZ-GTE型”直列6気筒2ウェイツインターボだ。
このパワフルなエンジンは、プレミアムスポーツセダンのアリストのほか、A80系スープラなどにも搭載され、好評を博した。アリストは初代だけでなく2代目にも搭載している。
2JZ-GE型直列6気筒と2JZ-GTE型直列6気筒ターボは1JZ系のスケールアップ版で、排気量は2997ccだ。
ボアとストロークをそれぞれ86mmに拡大したスクエア設計で、1995年以降は連続可変バルブタイミング機構のVVT-i仕様に進化し、ドライバビリティを向上させた。
初期の2JZ-GTE型ツインターボでも自主規制枠いっぱいの280psを発生し、最大トルクは44.0kgm。これに対しVVT-i仕様は280psの最高出力は変わらないが、最大トルクは46.0kgmに増強されている。ターボの後押しによって自然吸気の2JZ-GE型を大きく上回る鋭い加速を見せつけた。
ステーションワゴンのカルディナにもトヨタはスポーツユニットを与えている。2代目のカルディナは1997年秋に登場したが、初代と違ってスポーツワゴンを設定した。それがフルタイム4WDにDOHCターボを組み合わせた「GT-T」だ。メカニズムの多くは、WRCで大暴れしたセリカGT-Fourのものを譲り受けている。
心臓はボア、ストロークともに86.0mm、排気量1998ccの“3S-GE”型直列4気筒DOHCエンジンにターボを装着した“3S-GTE型”エンジンだ。ベースとなった6代目セリカ GT-Fourの3S-GTE型エンジンは、圧縮比8.5で255ps/31.0kgmのスペックだった。
これに対しカルディナGT-Tは改良型の3S-GTE型ターボを積み、セリカGT-Fourを上回る260ps/33.0kgmを発生する。最強スペックにこだわったのは、当時、全盛を誇ったレガシィツーリングワゴンGTと真っ向勝負するためだ。
同エンジンだった2台のタイプRは微妙な仕様差も
ホンダもスポーツユニットを巧みに使い分け、仲間を増やしている。その代表がインテグラタイプRの第二世代モデル(DC5型)とセンタータンクレイアウトを採用した異色の2代目シビックタイプR(EP3型)だ。
シビックタイプRは欧州仕様を日本のユーザー向けに手直ししたものである。両車ともDOHC・VTECエンジンを2Lにスケールアップし、2001年に登場した。
パワーユニットは両車とも1998ccの直列4気筒DOHC・VTEC(K20A型)だ。ただし、パワースペックは違う。
ピュアスポーツのインテグラタイプRは最高出力220ps/8000rpm、最大トルク21.0kgm/7000rpmのスペックだった。これに対しシビックタイプRはワインディングロードなどでの扱いやすさを重視して、最高出力は5ps、最大トルクも0.4kgm引き下げている。それでも215ps/20.6kgmの高性能だ。
ちなみにトランスミッションは、ユニークなインパネシフトの6速MTだった。3代目のタイプR(FD2型)とはファイナルレシオも異なっている。
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