取り巻く5つの懸念材料 スバルの未来はどっちだ!?

■今後のスバルを待ち受ける5つの懸念材料

①先進安全装置、アイサイトの優位性は続いているのか?

ADASと呼ばれる先進運転支援システムとして、自動車メーカーが中心となって開発している世界で唯一の商品がアイサイトだ。

イスラエルのモービルアイ、そしてドイツのボッシュとコンチネンタルが牛耳るこの技術領域で、スバルの「エンジニアの人力を使ったアナログっぽい開発志向」でしか実現しないきめ細かな制御は、世界自動車産業全体から高い評価を得ている。

アイサイトの認識イメージ

ただし、ステレオカメラのみならず、今後はシングルカメラの採用を公言しているスバルが、これまでどおりADASでの優位性を確保することは難しくなる。

スバルとしては自動運転レベル3でのさらなる技術の追求を進め、レベル4以上の完全自動運転でスバル独自の世界観の創出を目指す。

②電動化の準備は遅れていないか?

出遅れ、という表現ではなく、必要に応じて随時対応、という路線を描く。

まずは、スバルとして販売台数が多い北米市場での法規にマッチングするところから始めるのが当然だ。つまり、カリフォルニア州環境局のゼロエミッションヴィークル規制法(ZEV法)への対応としてプラグインハイブリッド車を北米市場に導入する。

いっぽうで、2019年から市場の全需10%を電動車両とすることを定めた中国の新エネルギー車規制法(NEV法)に対しても、ZEV法向け商品との共通性を高めるだろう。

日本では北米や中国のように、「いつまでに、どのような電動化を実現せよ」という法律が生まれる可能性は低いため、市場全体として売れ筋であるハイブリッド車をフォレスターなどを筆頭として導入する。

新型フォレスター

③中村知美新社長体制でも北米一本足打法が続くのか?

基本的にはそうなるが、そもそもスバルは決して、北米一本足をよしとしてきたわけではない。

2005年頃に北米市場でのシェア拡大を目指していた当時の富士重工。それまでの設計思想では、アメリカ人の体格ではスバルのクルマは少し小さかった。そこで、インプレッサを皮切りにアメリカ人好みのクルマに対する研究を進めた。

こうしたアメリカシフトについて当時、日本の自動車専門誌で「日本市場を軽視する動き」という否定的なコメントが目立った。

ところが、日本のユーザーはこうしたアメリカシフトによる負の部分をあまり感じることはなく、日本市場を重視したレヴォーグの登場を大歓迎した。

日米市場、各々の志向に合わせて、スバルの世界戦略が進む。

中村知美社長

④日本国内にアセントのような3列シート車がないのはどうなのか?

アセントは、3列シート車という括りではない。北米市場におけるミッドサイズSUVとの位置づけだ。スバルオブアメリカに対して、全米のディーラーから「アウトバックやフォレスターを卒業した顧客が乗れる、もう少し大きなクルマが欲しい」という声が増加したことがアセント誕生の主な理由だ。

日本市場においては、アメリカのディーラーと同じような声は聞こえてこないため、アセントの日本導入の可能性はほぼゼロだ。

他方、マツダがCX-8を作ったのは、日本市場でのミニバンからの離脱への対応策だ。スバルとしてはディーラーや顧客から、スバルのミニバン、またはミニバンに代わるものを欲する声もほとんどない。よって、日本向け3列シート車の誕生の芽はない。

新型3列シートSUV「ASCENT(アセント)」。2018年5月生産をスタート

⑤「100年に一度の変革」にスバルは耐えられるのか?

かなり難しいと言わざるを得ない。

最近、巷を賑わしている「自動車産業界100年に一度の大変革」の本質とは、自動運転、電動化、コネクテッドカーという3つの技術領域と、シェアリングエコノミーの台頭や都市化の加速などが融合して起こると考えられている。

スバルとしては次世代技術について今後、トヨタなどの大手メーカーとの連携が必須で、スバル主導型の技術革新の余地は一気に減少する。そうしたなかで、スバルが生き残る道はただひとつ。「スバルらしい、まったく新しいサービス」という世界を作り上げることだ。

技術屋集団としての意識が強いスバルが、サービスという出口戦略に向かって大きく舵を取ることは難しい。だが、それを早期に遂行しなければ、スバルに未来はない。

2018年2月のジュネーブ国際モーターショーで公開されたコンセプトカー「SUBARU VIZIV TOURER CONCEPT」

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