下剋上なるか!? 日本が誇る名門車VS世界の定番強豪車対決 3選

【3】クラウンVSベンツEクラス

[文:岡本幸一郎]

 かたやトヨタブランドの実質的フラッグシップ、かたやメルセデスの中堅モデルと立ち位置は異なれど、同じ欧州Eセグメントの高級セダンとして、かねてからなにかと比較されることの多かった2台。

 かつては大差がついていたように思うが、代を重ねるごとに差は縮まり、TNGAプラットフォームを得た新型ではクラウンがハード面ではほぼ追いついたような印象を受けるほどまでになった。

 ボディ剛性感が高く、操舵に対する応答遅れのない感覚や、一体感のある走りはEクラスにひけをとらないものだ。さすがはニュルブルクリンクで納得いくまで走りを鍛えた、というだけのことはある。

 パワートレーンについては、Eクラスのほうがはるかにワイドバリエーションであることはご存知のとおりだが、そのなかで同じガソリン2Lターボ同士を比べると、従来型ではパワフルさやスムーズさでEクラスが圧倒的に上回っていたところ、現行型は差がぐっと縮まった。

 EクラスにもPHEVはあるが、クラウンはトヨタの強みを活かして本格的ハイブリッドを2種類用意したのもたいしたものだ。そこは大きなアドバンテージといえる。

 先進安全運転支援システムについては、お互い機能的には世界最先端をいっていることには違いないものの、車線を維持するためのステアリング制御が滑らかなことや、レーンチェンジをアシストしてくれる点ではEクラスが上回る。一方のクラウンにはコネクティッドという武器がある。そこはトヨタが一歩リードしている。

 デザインについて、クラウンは若返りを図るべく大胆に変身したのは見てのとおり。一方、過去3世代でいろいろ新しいことにチャレンジしてきた経緯のあるEクラスは、現行モデルではレトロモダンという手法を採った。流麗な外観はもちろんだが、とりわけ妖艶なインテリアが印象深い。むろんクラウンもそれなりに高級感はあるが、そうした官能的な領域まで達していないのは否めない。

 ところが不思議なことに、このクルマでないと得られない世界観をどちらが持ち合わせているかというと、それはクラウンではないかと思う。

 確かにEクラスも、メルセデスらしさとスペシャルティな雰囲気を全身で巧く表現していることには違いない。メルセデスという強力なブランド力もある。しかし、なぜかあえてEクラスを選ぶ理由らしきものが薄れたような気がしてしまうのだ。

 その点でクラウンにはオンリーワンの存在感がある。このクルマにしかない世界観を感じさせるのは、クラウンのほうだ。

クラウン(2.0RSアドバンス)/全長×全幅×全高:4910×1800×1455mm、エンジン:2L直4ターボ(245ps/35.7kgm)、価格:559万4000円

ベンツE200アバンギャルド/全長×全幅×全高:4930×1850×1455mm、2L直4ターボ(184ps/30.6kgm)、価格:701万円

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