先月開催された「富士スーパーテック24時間レース」に、日産のフェアレディZ、トヨタのGR86およびスバルのBRZをベースにしたマシンが、CNF(カーボンニュートラル燃料)を使用して参戦、揃って完走を果たしました。今年からWRC世界ラリー選手権やWEC世界耐久選手権でも、このCNFが使用されています。
エンジン車存続の期待の星であるCNF。その詳細についてご紹介するとともに、メリットと課題についても触れていきます。
文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
写真:NISSAN、TOYOTA、SUBARU
CO2の排出と吸収で、差し引きゼロとするCNF
2020年、当時総理大臣だった菅義偉氏が、2050年「カーボンニュートラル宣言」を行って以来、メディアなどで「カーボンニュートラル」という言葉が取り上げられる機会が増えました。政府が国内で販売する新車を遅くとも2030年代半ばまでに電動化すると発表したことで、自動車業界でも、大きな反響がありました。
カーボンニュートラルとは、単にCO2に代表される温室効果ガスの排出量をゼロにすることではありません。実際には、CO2排出量をゼロにすることは現実的ではないので、「排出を全体で見てゼロにする」ということを意味します。言い換えると、CO2排出量からCO2吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにする、「発生CO2=CO2回収量(吸収量と除去量)」とするのが、カーボンをニュートラル(炭素を中立)にするという考え方です。
例えば、CNFのひとつにバイオ燃料があります。バイオ燃料は、再生可能な有機性資源(バイオマス)を原料に、発酵や熱分解などによって生成された燃料のことで、もちろん燃焼すればCO2は発生します。しかし、それらの原料となる植物が、その成長過程で光合成によって大気中のCO2を吸収するため、CO2排出量は差し引きゼロとみなす、というというわけです。そのため、バイオ燃料で発生したCO2排出量はカウントされません。
CNFとはCO2を回収して再利用する燃料であり、CNFにはバイオ燃料の他に水素、アンモニア、合成燃料(e-fuel)などがあります。富士スーパーテッック24時間レースでフェアレディZ やGR86およびBRZが使用したCNFは、合成燃料のe-Fuelです。
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