今年7月8日、歴代で16代目となる新型へのフルモデルチェンジを受け、歴代で初めてFF方式に生まれ変わったクラウン。クロスオーバーを皮切りにスポーツ、セダン、エステートの計4モデルが順繰りに設定されるのだが、歴代モデルのなかでも特にエポックメイキングだったクラウンは果たしてどのモデルだったのか?
初代セルシオと同じ4LV8エンジンを積んだ8代目130系、「いつかはクラウン」という俳優、石坂浩二氏のナレーションによるCFキャッチが秀逸だった7代目120系、ヤマハ製のスポーツユニットである280psの1JZ-GTEエンジンを積んだアスリートが復活した11代目の170系などなど。トピックス性のあるクラウンについて歴代モデルのなかから国沢光宏氏が3台を選んだ。その理由とは?
文/国沢光宏、写真/奥隅圭之、トヨタ、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】歴代クラウンのなかでも特徴のあるエポックなモデルはどれか? 写真でCHECK!(25枚)画像ギャラリー■歴代で最もクラウンらしさを失ったのが先代15代目だった?
新型クラウンはトヨタも予想していなかったほどの話題を集めている。新型車の人気のバロメーターって、今やネット記事の本数。ヒットするや即座に新しい切り口で紹介記事出てきます。
グーグル先生にクラウンの記事を探してもらうと、もはや読み切れないくらいの本数。ユーチューブも10日間かけたってすべて見るのは難しいほど。というワケで、これもクラウンの関連記事です(笑)。そして切り口を変える(笑)。
クラウンは新型で16代目になるということを、どの記事でも紹介している。読者諸兄にとって一番印象に残るモデル、何代目だろうか? おそらく「失敗ですね」だけは皆さん同じモデルを選ぶと思う。
それは15代目でしょう。一番クラウンらしくないかもしれない。さまざまな都合でオーソドックスなセダンじゃなく6ライトセダンになってしまった。全体の雰囲気もトヨタのフラッグシップとして考えたら弱い。だから売れなかった。正しく徳川幕府15代将軍、徳川慶喜のようなクルマです。
■ふつうの自動車評論家だと8代目をエポックだと選ぶだろう
逆に「最もエポックなクラウンは何代目か?」と聞かれたら、ふつうの自動車評論家なら「最も販売台数が多かった8代目」を挙げると思う。バブル景気ド真ん中の1987年にデビュー。
絶好調となる1991年まで販売していたモデルで、売れに売れた! 1990年なんか月販平均で2万台! 年間23万9858台も売れたほど! カローラを凌ぐ月すらあったというのだから驚く。
なぜ売れたのか? 前述のとおり、デビュー当時はバブル景気も始まったばかり。人気モデルを見ると2L6気筒スーパーチャージャー付きの4ドアハードトップだった。そして200万円台のグレードが主流。
1980年代前半から始まっていた「ハイソカー」の究極のような存在といってよかろう。景気上昇に合わせ、イケイケドンドン! 1989年にはセルシオ用に開発した4LV8をいち早くこのクラウンに搭載している。
今や面影もないが、この時まで「新しい技術はクラウンから」という鉄のようなオキテが存在していた。セルシオですら新開発の4LV8を最初に搭載できなかったんだから凄い!
ちなみにABSやトラクションコントロール、横滑り防止装置VSCなどすべて8代目クラウンでキックオフとなっている。そのほか、ステーションワゴンをラインアップするなどバリエーション豊富だった。
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