全車標準装備してくれ!! 救急車が近づいても避けないクルマとITの力

■「気づかなかったこと」に気づけない!!!

 この「近づいてくる救急車両のサイレンに気づかない」という問題は、官民あげて大きな社会的課題となっており、解決策のひとつとして普及を進めているのが「ITS Connectサービス」だ。

 ITS Connectとは、見通しが悪い交差点などで、車両同士(車車間通信)や道路に設置された路側インフラ設備との無線通信によって得られる情報(路車間通信)をドライバーに知らせることで、運転の支援につながるシステム。このシステムのひとつに「緊急車両存在通知機能」がある。

 ざっくり言うと、サイレンを鳴らした救急車などの緊急車両が自車に近づくと、カーナビのモニターに「緊急車両接近」と表示され、さらに音声でも知らせてくれる仕組み。

緊急車両が近づくとモニターに「緊急車あり」と表示され、音声でも知らせてくれる(トヨタ「ITS Connect」公式Youtubeより)
緊急車両が近づくとモニターに「緊急車あり」と表示され、音声でも知らせてくれる(トヨタ「ITS Connect」公式Youtubeより)

 これ、本企画担当者も先日3日間ほど都内で試験的に利用してみたが、「こ…こんなに鳴るの?」というくらいお世話になった(1日2~3回「緊急車両接近」というアラートが鳴った)。

 考えてみれば、2021年の救急車出動件数は619万3663件(総務省消防庁より)。1日あたり約1万7000件の救急車が日本のどこかで出動している。都内を1日走り回っていれば、2~3回遭遇するのは当たり前ともいえる。

 恐ろしいのは、その半分くらい、運転している自分が気づかなかった、という点にある。ガチで背筋が冷たくなった。

 アラートが出て、慌てて周囲を見回し、耳を澄ますと「……ーポー……ピーポーピーポー!!」と聞こえてきて、慌てて対応しました。「救急車の接近に気づかないわけがない、自分はそんな間抜けじゃない」と思っている皆さん、いや本当に気づかない時もあるんです。気づいた時だけ認識しているから、気づかなかった件はなかったことになっているわけで。

 話を戻すと、この救急車両の接近をドライバーに知らせるITS Connect、名古屋市および豊田市で行った実証実験では、救急車が走行する主要道の交差点間(計16区間 )において、救急車の緊急走行時間が平均7.7%短縮したことが報告されている(総務省消防庁「救急業務のあり方に関する検討会」平成30年度報告書より)。効果抜群。

 現状このシステムはトヨタ車の一部(MIRAI、ハリアー、プリウス、アルファード、ノア/ヴォクシー、新型クラウンなど)に27,500円(税込み)でオプション設定されている。社会的に大切な装備のわりに設定車が少ない。たくさん売れている軽自動車にこそ必要な装備ではないか。

 これ、社会的な有用性がめちゃくちゃ高い装備なので、なんとか全車標準装備になりませんか。「緊急車両を早く通過させる」という社会のための装備であり、こういう装備は、気前よくオプション料金を負担できる一部の安全意識の高い人々から…となると普及に時間がかかるもの。全車一括で「えいや!」と装備したほうが、コストも下がるし社会全体の安全性も高まるしで、いいことづくしだと考えます(通信機器であるスマホに通知を飛ばす手もあるが、運転中にスマホを鳴らすわけにはいかない)。国交省とトヨタさん、どうかひとつご一考を。

【画像ギャラリー】こんなに増えてるのか…救急車搬送時間の増加と搬送件数、こんな時どうする…?画像(10枚)画像ギャラリー

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