最強遺伝子を残せ!! クルマ界の”ディープインパクト” 名車を育てた名エンジン5選

■アルトワークスからジムニーまで!! スズキの名機F6A

 高性能なエンジンは、小型/普通車だけでなく、軽自動車にも見られる。印象に残るのはスズキのF6A型だ。

 1990年に軽自動車のエンジン排気量が今と同じ660ccになり、550ccのF5型を拡大して開発された。

韋駄天のようなアルトワークスを支えたのがF6Aエンジン。ビュンビュン回るその元気のよさは多くの若者を魅了した

 F6A型はSOHCから4バルブのDOHCまで幅広く用意され、SOHCとDOHCの両方にターボ仕様があった。

 スズキのエンジンらしく吹き上がりが活発で、回す楽しさを味わえる。またマニュアルトランスミッションでは、活発な回転の上昇に合わせて、適切なシフト操作を要求するエンジンでもあった。

ジムニー(JA11など)にもF6Aは搭載された。もちろんアルトワークスとは用途は違うものの、耐久性の高さもあり愛された名機だ

 当時のアルトワークスからジムニーまで、さまざまな性格の軽自動車に搭載され、さまざまなユーザーに運転の楽しさをもたらした。

 そして活発に回るエンジンでは、車両側も足まわりの性能を高めるなど、高い動力性能を吸収せねばならない。まさにスズキの軽自動車を進化させるエンジンだった。

■世界を揺るがしたトヨタのハイブリッドを支えた遺伝子

 スポーティ指向のエンジンを多く取り上げたので、ハイブリッドも紹介したい。トヨタの2ZR-FXE型だ。

 最初に搭載したのは2009年に発売された3代目(先代)プリウスで、排気量を1.5Lから1.8Lに拡大した。

2ZR-FXEエンジン(写真はトランスアクスル付)はまさに現代のトヨタのハイブリッドを支えるエンジンだ。ハイブリッドとはいえ内燃機関なしでは走らない。このエンジンの功績は大きい

 ハイブリッドシステムは、従来と同じ駆動用モーターと発電機を別個に搭載するTHSIIだが、2ZR-FXE型はシステム全体の90%を新開発とした。

 リダクションギアを組み合わせて駆動力を高める工夫も施している。エンジンとモーターの駆動力を合計したシステム最高出力は136馬力とされ、3代目プリウスが発売された時のJC08モード燃費は、SとGが30.4km/L、Lが32.6km/Lであった。

 このハイブリッドシステムは、ヴォクシー&ノア、レクサスCTなど、さまざまな車種に搭載された。

現行プリウスにも搭載される。40km/Lの高燃費をたたき出す原動力にもなっており、今後の進化などにも期待がかかる

 現行プリウスにも採用され、JC08モード燃費は主力グレードが37.2km/L、燃費スペシャル的なEは40.8km/Lに達する。

 ハイブリッドは基本的にノイズが小さいが、ほかの音が目立つ難しさもある。遮音を入念に行ったり、音質を工夫して、静かなクルマに造り込んでいく。

 特に2ZR-FXE型は搭載車種も多く、ハイブリッドのクルマ造りを進化させた。ハイブリッド車の普及にも大いに貢献しており、歴史に残るパワーユニットとなっている。

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