クラウンクロスオーバーのライバル車はどのクルマ? トヨタ車同士共喰いか!?

クラウンクロスオーバーのライバル車はどのクルマ? トヨタ車同士共喰いか!?

 2022年7月15日、新型クラウンが華々しくお披露目された。新型モデルには4種類のボディが用意された。2022年秋に新型クラウンクロスオーバーの発売が開始。このモデルは、セダンとSUVをかけ算し誕生した美しいデザインと良い室内空間を実現している。

 今回は、新型クラウンクロスオーバーとはどのようなモデルなのか、について解説。そしてライバル車はどのモデルになるのか、について考察していく。最大のライバルはどのクルマなのだろうか? 

文/渡辺陽一郎、写真/TOYOTA、奥隅圭之、佐藤正勝、池之平昌信、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】CX-60 アルファード…新型クラウンクロスオーバーのライバルたちをじっくり画像で確認!(36枚)画像ギャラリー

2022年秋発売!! 新型クラウンクロスオーバーは新たな市場を開くのか

クロスオーバー、スポーツ、セダン、エステートという4タイプのボディが用意される新型クラウン。第一弾として「クロスオーバー」を今秋から発売
クロスオーバー、スポーツ、セダン、エステートという4タイプのボディが用意される新型クラウン。第一弾として「クロスオーバー」を今秋から発売

 従来のクラウンは上級セダンとして発展してきたが、高級車離れとセダン離れが重なり、近年の売れ行きは急落している。1990年におけるクラウンの国内登録台数は、1カ月平均で今のヤリスシリーズと同等の約1万7300台だったが、2021年は約1800台だ。今のクラウンの売れ行きは、1990年の約10%まで落ち込んだ。

 かつてのマークII(後のマークX)やコロナ(同プレミオ)は人気を下げて生産を終えた。クラウンも終了する方法はあったが、トヨタとしてはこれを避けたい。クラウンは初代モデルを1955年に発売した伝統ある車種で、トヨタ車の求心力に相当する存在でもあるからだ。

 そこでクラウンを将来に向けて存続させるが、そのためには確実に販売していくことが不可欠だ。この対策として新型クラウンは、4種類のボディを用意した。1~2種類では販売が低迷する心配もあるが、シリーズ化すれば売れ行きを増やしやすい。

 またクラウンの累計販売台数は680万台で、この内の80%以上を国内で売ったが、今後は海外でも積極的に販売して台数を増やしたい。そこで新型クラウンは、4種類のボディの内、3種類をSUVにした。SUVは世界的に人気を高めているからだ。

 そのいっぽうで、従来から続くセダンを残したことも注目される。しかもセダンの外観を見ると、SUVに比べてフロントピラー(柱)と前輪の間隔が広い。3種類のSUVは、前輪駆動か、これをベースにした4WDだが、セダンだけはエンジンを縦方向に搭載した後輪駆動車だ。

 後輪駆動のセダンを残す理由は2つある。ひとつはクラウンの伝統を継承することだ。前輪駆動ベースのSUVだけでは、新型は先代型とまったく違うクルマになるが、後輪駆動のセダンがあれば継続性も保たれる。

 2つ目の理由は法人ユーザーの需要だ。クラウンは昔から社用車のニーズが多く、販売店でも「クラウンを購入するお客様の半数以上は法人」という。セダンを残す目的には、法人需要を繋ぎ止めることも含まれる。

 そして4種類のボディのうち、2022年7月に価格を含めて詳細が公表されたのはクラウンクロスオーバーのみだ。開発者は「ほかの3タイプは開発途中」という。

 そこでクラウンクロスオーバーの外観を改めて見直すと、セダンだった従来型からの継続性を意識させるところが多い。大径タイヤが収まるホイールハウスをブラックの樹脂パーツで縁取るデザインはSUVだが、ボディ形状はセダンだ。ボディの後端に大きく開くリヤゲートは装着されず、荷物は独立したトランクフードから出し入れする。後席の背もたれをすべて倒して、荷室面積を広げる機能もなく、外観はSUV風でも自転車のような大きな荷物は積みにくい。

 この実用性の低さはSUVとしてマイナスだが、セダンスタイルの採用により、ボディ剛性は高い。従って先代型のメリットとなっていた走行安定性と乗り心地も維持しやすい。

 またセダンでは、居住空間とトランクスペースが分離されるから、後輪が路上を転がるときに発する騒音も抑えやすい。先代型から乗り替えたときの不満を感じさせないように、クラウンクロスオーバーはセダンスタイルを採用したわけだ。

 さらに駆動方式も、2WDは設定されず4WDのみだ。クラウンクロスオーバーのプラットフォームは、カムリやハリアーと同様のGA-Kで、前輪駆動がベースになる。後輪駆動の先代型に比べて走りが悪化しないよう、前輪駆動の2WDは用意せず、4WD専用にした。

 ボディサイズは、全長が4930mmで、GA-Kプラットフォームを採用したこともあって全幅は1840mmとワイドだ。先代型の全幅は1800mmだったから、新型では取りまわし性の悪化が心配される。そこでクラウンクロスオーバーは、全車に後輪操舵のDRSを標準装着した。中低速域では、後輪を前輪と逆方向に操舵することで、最小回転半径を5.4mに抑えた。

 開発者は「DRSを装着しないと最小回転半径は5.8m前後になる」という。このようにクラウンクロスオーバーは、ボディのワイドなSUVに発展しながら、先代型のセダンと比べたときの欠点を抑えるように開発されている。

 クラウンクロスオーバーは、以上のような複雑な事情に基づいて開発されたから、ライバル車も見つけにくい。

次ページは : 高級感のあるマツダCX-60筆頭! クラウンクロスオーバーのライバル車たち

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

マツダ6、実は水面下で開発が続いていた!? 注目新車情報、グッズが当たるアンケートも展開「ベストカー4月26日号」

マツダ6、実は水面下で開発が続いていた!? 注目新車情報、グッズが当たるアンケートも展開「ベストカー4月26日号」

終売が報じられたマツダ6はこのまま終わるのか? 否!! 次期型は和製BMW3シリーズといえるような魅力度を増して帰ってくる!? 注目情報マシマシなベストカー4月26日号、発売中!