自動車のテクノロジーや取り巻く環境は千変万化。一世を風靡したのに、最近とんと目にすることがなくなった装備やカーアクセサリーは数多い。クルマの装備のトレンドは、クルマ本体以上に目まぐるしく変わっている。今回は、使ってことがあったら、”ちょいオジさん”かも……な、「昭和の香りがする装備」を探ってみたい。
文/藤原鉄二、写真/トヨタ、写真AC
【画像ギャラリー】姿を消しつつあるレトロ装備をもっと見る(12枚)画像ギャラリー一部では復権の兆しもあり!? 「鉄チンホイール」
もはや若者たちにとって、ホイールはアルミが当然。「鉄チン」なんて言っても通じないかもしれない。
ひと昔前は鉄チン、いわゆるスチールホイール装着車が基本で、アルミは上級グレードやオプションで選択するというのが当たり前だった。しかし、現在では状況は一変、軽自動車やコンパクトカーの一部では採用しているクルマはあるものの、その数は圧倒的に少なくなっている。
鉄チンは安価ではあるもののデザインの自由度がないというのが難点。また、一般的には、バネ下重量が重くなることにより路面追従性が悪化すると言われている。
おまけに、スポークがないため熱がこもりやすく、坂道などが延々と続くような道など、ブレーキに大きな負荷がかかるようなシチュエーションではフェード現象が発生しやすくなるというのも難点のひとつ。
とはいえ、鉄チンにも良さはある。特に、耐久性の高さは特筆点。錆びやすいものの、メンテナンスさえきちんとしてあげれば何十年ももつのだ。
一時は絶滅危惧種だった鉄チンだが、近年では、デザイン性の高いホイールカバーに付け替えをすることで個性が出せるという点に注目が集まり、あえて鉄チンを選択する人も増えている。
スポーツカーの象徴として一世を風靡「リトラクタブルライト」
世界のスーパーカーが採用していたリトラクタブルライト。日本でも1970年代後半のスーパーカーブームにのって、各メーカーがスポーツカーや、スポーティなイメージを打ち出したい車種にリトラクタブルライトを続々と採用した。あえて説明する必要はないかもしれないが、リトラクタブルライトとは、和名だと「格納式前照灯」と表記される車体の内部に格納できる前照灯のことだ。
一時は街中にリトラクタブルライト搭載車が溢れるといった状況だった。しかし、冷静に考えると見た目がかっこいいという点以外にリトラクタブルライトのメリットはあまり見当たらない……。それどころか、点灯時は空気抵抗が増える、コストがかかる、整備が面倒など、デメリットのほうが多いのだ。
特に問題とされたのは、点灯時に事故を起こした時の殺傷性が高まるという点。この問題は致命傷だった……。
ということで、2002年、マツダ RX-7の生産を終了とともに、国産車のリトラクタブルライト搭載車は消滅した。世界でもリトラクタブルヘッドライトの廃止は進み、現行車でリトラクタブルライト搭載車はほぼ皆無となってしまった。
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