使い勝手は良かったが…「フェンダーミラー」
こちらも、もはや目にすることはほとんどなくなってしまった装備。少し前まではタクシーはフェンダーミラーというイメージだったが、こちらも徐々に減りつつある。
もともとはドアミラーは日本では違法だった。いっぽう、海外ではドアミラーを採用するクルマが主流だったためドアミラーが輸入の障壁となっていた。そのため海外からは規制緩和が求められ、1983年、ついにドアミラーが解禁に。同年にはこぞって国産車もドアミラー装着車の販売を開始することとなった。
とはいえ、フェンダーミラーを好むドライバーは多かった。視線移動が少なく、ドアミラーよりも広い視野が確保できるうえ、車両からはみ出していないことため狭い路地でも楽に走ることができるからというのがその主な理由。
そんな使い勝手の良いフェンダーミラーが姿を消した大きな理由は、リトラクタブルライトと同様、歩行者と接触してしまった時に殺傷能力が高まる恐れがあるから。
こういったことから、現在では国産車でフェンダーミラーを装着するクルマはタクシー専用車JPN TAXIのみとなっている。ひと昔前の教習者もフェンダーミラーが定番だったが、現行の教習仕様車はドアミラー化されている。
排出ガス規制の波にのまれて姿を消した「有鉛ガソリン」
これは装備ではないものの、若い世代ではその存在自体、知らない人が多いはず。今はレギュラーもハイオクもガソリンはすべて無鉛。しかし、1970年代以前には、有鉛ガソリンが主流だった。
有鉛ガソリンとは、アルキル鉛という鉛が添加されたガソリンで、エンジンの燃焼室での異常燃焼(ノッキング)を軽減する、いわゆるアンチノック性を向上させることを目的に添加されていた。
しかし、排気ガスに含まれる鉛が引き起こす健康被害への懸念や、自動車排出ガス中に含まれる鉛の許容限度の制定などが続き、1975年にレギュラーガソリンが完全無鉛化、1987年にはハイオクガソリンも完全無鉛化された。
ちなみに、クラシックーカーや旧車には有鉛ガソリン指定のものもある。ハイオクでも走れるものの故障のリスクが高まるため、そういったクルマの場合は、市販の有鉛化添加剤を入れたり、バルブシートそのものを無鉛ガソリン用に交換してしまうということで対応している。
技術の進歩とともに姿を消しつつある装備たち
■三角窓
三角窓とは、フロントドアガラスの前方に備えられ、回転して開閉する小さな窓。開けて走ると涼しい風が車内に吹き込むというしくみだ。その昔はエアコンなしでも三角窓さえあれば涼しいと言われていた。また、エアコン嫌いの人にとっても非常に助かる装備ではあった。
とはいえ、大方の人はエアコンがついていれば三角窓なんて使うはずもなく、エアコンの普及とともにその必要性も減り、現在では三角窓を採用するクルマはほぼ皆無に。とはいえ、昔とは比較にならないレベルの酷暑にはさすがの三角窓も太刀打ちできそうにないが……。
■手回しウィンドウ
パワーウィンドウの装着率がほぼ100%となった今、手動ウインドウハンドルは絶滅の危機にある装備。取り付けコストが安いなどのメリットがあるため、手動ウインドウハンドルが標準装備される商用車は今後も残されることが予想されるが、商用車に縁がないドライバーにとっては目にする機会すらなくなっていくことだろう。
コメント
コメントの使い方