輸入車続々投入!? 教習車が時代のニーズとともに変化するワケ

輸入車続々投入!? 教習車が時代のニーズとともに変化するワケ

 運転免許を取得するときに通う自動車学校の教習車といえば、カローラやアクセラ、コンフォートなどの国産車が定番です。しかし、近年では、輸入車を教習車として使う教習所も増えています。

 今回は、輸入車をはじめとするプレミアムブランドの教習車が増えている理由をさまざまな視点から考察します。

文・写真/齊藤優太
写真/MAZDA、TOYOTA、HONDA、SUBARU、BMW、Audi

【画像ギャラリー】BMWやアウディを導入する教習所も!! 教習車として使われるクルマたち(9枚)画像ギャラリー

教習車を国産車に限定する必要はなかった!

 そもそも教習車は、一定の基準を満たしていれば教習車として認められます。そのため、国産車に限定する理由はありません。また、ボディタイプもセダンである必要はないのです。

 一般的によく見る教習車は、カローラやアクセラなどです。少し前までは、コンフォートが大半でした。また、教習に使われる車は、技能試験を実施するための試験車両としての基準を満たしていることがほとんどです。

 技能試験に使用できる車両については、道路交通法施行規則第24条6項に「乗車定員5人以上の専ら人を運搬する構造の普通自動車で、長さが4.40m以上、幅が1.69m以上、最遠軸距(ホイールベース)が2.50m以上および輪距(トレッド)が1.30m以上のもの」と定められています。ボディタイプについての指定はないため、セダン以外の車でも問題ありません。

 では、教習車として使われる車は、誰が、何を基準に選んでいるのでしょうか。

 教習に使う教習車は、自動車学校(会社)の幹部の話し合い、運転・指導のしやすさ、技能試験の基準に適合しているかなど、さまざまなことを考慮して選ばれます。また、企業である自動車学校は、一人でも多くの教習生を入校させたいと考えていることから、話題性のある車種や環境性能に優れたモデルを導入しているといえるでしょう。

 そのため、輸入車や高級車など話題性があり、20代を中心とした若い世代が憧れる車を教習車として導入していると考えられます。

教習車として投入される輸入車はBMWが多い!

基本的に輸入車のウインカーレバーは左にあるが、教習車仕様になっても左のまま(出典:筆者撮影)
基本的に輸入車のウインカーレバーは左にあるが、教習車仕様になっても左のまま(出典:筆者撮影)

 近年増えてきた輸入車の教習車には、どのような車があるのでしょうか。

 教習所の紹介ページなどを見てみると、BMWを導入しているケースが多いです。また、アウディやメルセデス・ベンツなどを使っている教習所もあります。輸入車を教習車として導入する場合、ウインカーレバーの位置はどのようになるのでしょうか。

 筆者がとある教習所に聞いてみたところ、輸入車の教習車のウインカーレバーは左のままとのことでした。教習生が混乱してしまうのではないかと考えてしまいますが、免許保有者も国産車から輸入車に乗り換えたときにレバー操作を間違えることがあります。しかし、運転しているうちにレバー操作に慣れていくため、大きな問題ではないといえるでしょう。

 教習車についてよく調べてみると、BMWやアウディなどの輸入車だけでなく、レクサスを導入している教習所もありました。近年では、プレミアムブランドといわれる車を教習車として導入している教習所が増えているようです。

 では、なぜプレミアムブランドの車を教習車として導入しているのでしょうか。

プレミアムブランドの教習車が増えているのはなぜ?

教習車として導入されているBMW2シリーズ グランクーペ
教習車として導入されているBMW2シリーズ グランクーペ

 プレミアムブランドの車を教習車として導入している背景には、話題性だけでなく、若者が憧れるカーブランドであるということも影響していると考えられます。

 パーク24が2022年2月9日に公表したタイムズクラブ会員を対象に実施した「クルマへの興味に関するアンケート」によると、「一度は乗ってみたいと思う憧れのカーブランド」は、同率1位で「BMW」「レクサス」「フェラーリ」、4位が「ポルシェ」、5位が「メルセデス・ベンツ」という結果でした。年代別の結果を見ても「BMW」の人気の高さがわかります。年代別のトップ3は、次のとおりです。

【20代が憧れるカーブランド】
1位:BMW
2位:レクサス
3位:ポルシェ

【30代が憧れるカーブランド】
1位:BMW
同率2位:フェラーリ、レクサス

【40代が憧れるカーブランド】
同率1位:レクサス、フェラーリ
同率3位:ポルシェ、BMW

【50代が憧れるカーブランド】
1位:フェラーリ
2位:ポルシェ
同率3位:レクサス、BMW

【60代以上が憧れるカーブランド】
1位:BMW
同率2位:ポルシェ、メルセデス・ベンツ

※出典先:パーク24

 また、ソニー損保が2022年1月5日に公表した「2022年新成人のカーライフ意識調査」では、運転免許保有者と取得予定者836名のうち、19.1%が「自分の車を持っている」、11.0%が「自分の車を購入する予定がある」、50.5%が「購入する予定はないが、いずれは欲しい」と回答。80.6%(674名)の人が車の所有に肯定的という結果でした。

 さらに、車の所有に肯定的な新成人674名に「現在欲しい車」を聞いてみると、1位がトヨタ アクア、2位がBMW、3位がレクサス、4位がフォルクスワーゲン、5位がメルセデス・ベンツ、6位がアウディ、7位がトヨタ プリウス、8位が日産 ノート、9位がトヨタ アルファード、10位がポルシェという結果になっています。

※出典先:ソニー損保「2022年新成人のカーライフ意識調査」

 2つのアンケート調査からも、免許を取得しようとする世代の人たちがBMWやレクサスといったプレミアムブランドの車に興味・関心があるといえます。

 免許を取得しようとする世代の人たちが興味を持つ車が教習で乗れるとなれば、積極的に教習所に通いたいと考える可能性が高いです。そのため、教習所は輸入車をはじめとしたプレミアムブランドの車を教習車として導入しているといえます。

ハイブリッドカーやEVもある! 教習所の話題作りだけではない教習車のラインナップ

 教習車には、プレミアムブランドのモデルだけでなく、環境性能や静粛性に優れるハイブリッドカーや電気自動車(EV)を導入している教習所もあります。ハイブリッドカーのプリウスや電気自動車(EV)のリーフなどを導入している理由は、環境への配慮だけでなく、モーターならではの力強い加速や音がしないという危険性を知ってもらうことができるためです。

 このように、時代や車の変化に応じて、教習所も教習車のラインナップを変え、時代にあった運転教育をしているといえます。

 教習車として、輸入車・高級車・ハイブリッドカー・EVなどを導入しているのは、免許を取得しようとしている世代の人たちが興味を持っている車で入校を促進するという教習所の戦略や話題性だけでなく、時代の変化に応じた運転教育をするという側面もあるといえます。これから免許を取得しようと考えているのであれば、いつか乗ってみたいと思う憧れの車がある教習所を選ぶというのも良いのではないでしょうか。

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