■駐車場問題も要因! ステップワゴンたちが5ナンバーを死守していたワケとは
いち早くFF方式を採用して大成功したステップワゴンは、2代目以降も5ナンバーサイズの量販グレードを主役に据えた。
変化が出るのは2003年のマイナーチェンジだ。2.4Lエンジンを積み、専用フロントグリルやエアロフォルムバンパーなどを採用したスポーティな「スパーダ」を設定している。エンジンが大きいこともあり、3ナンバー車だ。そこで割り切り、プロテクターモールなどで全幅を30mm広げ、1725mmに拡大した。
2005年にデビューした3代目ステップワゴンも5ナンバーサイズで登場する。ただし、低床フロアをさらに追求したから全高は先代より75mmも低くなった。また、助手席側だけだったスライドドアを両側に設け、利便性を大きく向上させている。
話題をまいたのは、2代目の途中で登場したスパーダが整理されたことだ。だが、木目調パネルを張ったフローリングフロア採用のグレードを設定するなど、新しい試みも行った。2007年11月にスパーダを復活させている。だが、2.4Lエンジン搭載車でも第2世代は、標準タイプと同じ5ナンバーボディをまとった。
低全高はファミリー層に不人気だったので、2009年秋に登場した4代目は、全高を引き上げている。ボディをサイズアップしたが、全長、全幅ともに5ナンバー枠のギリギリのところに抑えた。全長は4690mm、全幅は1695mmだ。このサイズで最大級の広いキャビンと上級ミニバンを凌ぐ快適性を実現している。
5代目は15年春にベールを脱いだ。パワーユニットを一新し、初めてハイブリッド車とターボ車を投入した。また、売れ筋になったスパーダ系はバンパーを延ばして3ナンバー枠に踏み込んでいる。
だが、このときもエアロパーツ装着車以外の全幅は1695mmにとどめた。ちなみに、エクステリアでの注目ポイントは、バックドアを観音開きとした「わくわくゲート」の採用だ。
ライバルのノア/ヴォクシーとセレナも、標準ボディの全幅は5ナンバー枠にとどめ、限られたボディサイズの中で快適性と利便性を高めていった。子育てファミリーご用達となり、2家族世代にも好評なミニバンが5ナンバー枠にこだわるのは、駐車場が狭いからだ。
ちょっと設計の古い建売住宅の駐車場はほとんどが小型車サイズとなっている。後席がわはスライドドアと言っても、ワイドボディでは使いづらいのだ。また、平日は奥様が子どもり送り迎えや買い物などで運転することが多いから、ワイドボディだと大きさを持て余すと嘆くユーザーも少なくない。
■3ナンバーでも売上好調! 少しの拡大ならユーザーも問題なし!?
唯一の例外は三菱のデリカだ。5代目にモデルチェンジしたときに全幅を1795mmまで広げている。だが、デリカD:5に追随するミドルクラスのミニバンはなかった。
この図式を変えたのが2022年1月に登場したノア/ヴォクシーである。プラットフォームを刷新し、パワーユニットも新しい。もっとも衝撃を与えたのはボディサイズだ。先代ではエアロ仕様は3ナンバーのワイドボディだったが、主力は全幅を1695mmにとどめていた。
だが、新型ノア/ヴォクシーは全車の全幅を1730mmまで広げている。ついに5ナンバー車を消滅させてしまったのだ。
ライバルを見ても分かるように、今のミドルクラスのミニバンの主流は1700mmをちょっと超えた3ナンバーのエアロ仕様である。ステップワゴンもエアロパーツを装着したスポーティ派のスパーダが売れ筋となっている。
だからモデルチェンジした新型ステップワゴンも1750mmの全幅で登場した。この戦略は当たったようで、今のところノア/ヴォクシー、ステップワゴンともに販売は好調だ。しかもステップワゴンは、フロントマスクが凛々しいカスタム系のスパーダがダントツ人気で、新設定のエアーを圧倒している。
全幅は広がっても、50mmくらいまでならドアミラーまでの長さは5ナンバー枠を守った先代と大差ない。また、タイヤの切れ角などを大きくできるから取り回し性などは逆によくなる。
5ナンバーボディのミニバンは、今後はフリードやシエンタなどのコンパクトサイズに限定されていくだろう。遠からずモデルチェンジするであろうセレナも、次期モデルは3ナンバーのワイドボディを採用すると思われる。
ミドルサイズのミニバンは、これから先、3ナンバーに踏み込んだワイドボディが主役になるだろう。時代は変わった。
【画像ギャラリー】新型で示し合わせたようにサイズアップしたトヨタ ノア/ヴォクシー&ホンダ ステップワゴン(14枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方D:5ほど大きくはないものの、プレマシーとMPVがあったよね
何だったの?って今までの努力を無下にするのは、親や日本に恩を感じられない精神と似ている。
問題視するなら先に大型化していった他社であるし、今でも5ナンバーを選べるという事に感謝できなければ、それすら当然消え去るでしょう