■モダンな顔つきはクラウンセダンの大革命
一方、新型クラウンセダンを前から見ると、基本的にはクロスオーバーと同じ顔つきだ。
一番目を引くのは、小径LEDヘッドライトを内蔵した横一文字の黒いライン。ヘッドライトの真上、ボンネットフードの切れ目が微妙にまぶたのように見えるので、2代目プレリュードのようなセミリトラクタブル? と思わせたりする。
中高年世代にとって、2代目プレリュードは、元祖デートカーとして強烈にポジティブな印象がある。2代目プレリュードっぽく見えるというだけで、若々しく感じられたりする(40年前のクルマですが……)。2代目プレリュードを知らない世代にとっても、黒い横一文字のフェイスラインは斬新ではないだろうか。
リヤは、流行りの横一文字のテールラインを持ち、バンパー部の左右には、えぐりこむようなエアアウトレット的な造形がある。近年、BMWがM4などスポーツモデルに積極的に採用している造形で、既視感はあるものの、クラウンセダンが目指す境地を感じさせる。
総合的には、サイドビューにはそれほどの斬新さはないが、やっぱりクルマは顔が命。クロスオーバー同様、まったく新しい顔のディテールになっているので、それだけでリボーン感は十分高い。
先代クラウンのデザインが中途半端に終わったのは、スポーティな6ライトのファストバックスタイルを採用しながら、顔がおっさんのままだったからだ。しかし新型クラウンの顔は、2代目プレリュードなのである。やっぱりそれは、クラウンセダンの大革命だろう。
しかし、顔以外は比較的オーソドックスで、あまり突飛な部分はない。なによりサイズが雄大だ。それだけでこれまでのクラウンとは別物に感じるはず。実物を前にすれば、迫力に圧倒され、「カッコイイ!」と思うのではないだろうか。
私は若い頃、パリで6代目クラウンを見かけたことがある。日本大使館の公用車らしき、黒塗りのセダンだった(当時クラウンは国内専用モデル)。日本では何も思わなかったが、パリの街並みの中では絶望的に不格好で、見るからに後進国の役人が乗りそうなクルマだった。
あの、海外で見たクラウンの超絶レベルのカッコ悪さを思うと、その延長線上を歩んできたクラウンが生き残るためには、まったく新しい形に生まれ変わる必要があったことは確かだ。新型クラウンセダンは、その要求をおおむね満たしているのではないだろうか。
【画像ギャラリー】やっぱクラウンはセダンでしょ!! 顔とサイズをガラリと変えてきた新生トヨタ クラウンセダン(8枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方