■今こそ評価されるべき「歌舞伎顔」
大不評だったデザインについても、トヨタの攻めの姿勢の成せる業。確かにフロントマスクは複雑すぎて意味不明なイメージになったが、そのほかはスピード感や未来感のある、秀逸なデザインだった。特にリアまわりは未来的で、テールランプが点灯すると、SF映画みたいだった。
ただ、2015年末の登場当時、まだトヨタデザインに対する世間の評価はあまり高くなく、変わったことをやると叩かれた。例えば2012年登場の14代目クラウンアスリートの「イナズマグリル」や、2015年登場の現行アルファードの「巨大銀歯グリル」は、4代目プリウス同様、クルマ好きの間で大不評。この3台は、「トヨタデザイン最低の系譜」といった目で見られていた。
しかし、現在は状況が一変した。世間の想像を大胆に超えるトヨタデザインの評価はうなぎ上りで、何をやっても評価される。私が個人的に「毒虫顔」と呼んで嫌ったヤリスは、販売ランキングトップに輝いたし、ヴォクシーの「超獣顔」も好評だ。
仮に今、4代目プリウスが登場していれば、それほどの抵抗なく、あの歌舞伎顔が受け入れられていたのかもしれない。
しかしトヨタは、看板モデルであるプリウスの全世界的不評に耐えられず、マイナーチェンジでデザインを大幅に変更。ヌルくて平凡で愛着の沸かない、取って付けたようなディテールの、ダメなデザインにしてしまった。今の自信満々のトヨタなら、こんな世間に媚びた仕事はしないだろう。
4代目プリウスは、すべてを兼ね備えていながら活躍できなかった、不運の名車だった気がしてならない。
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コメント
コメントの使い方デザイン攻め過ぎ。もはや下品の域。