ボックスビーム
まったく聞いたことのない名前だが、これも車両用防護柵のひとつ。ガードレールのような鉄製ビームの代わりに長い角パイプを支柱に載せて構成される。ガードレールのように表裏がないので、これひとつで道路を分離することができる。幅に余裕のない狭い中央分離帯などに使用されている。
壁高欄(かべこうらん)
高速道路の高架区間や川や道路をまたぐ橋梁部分は、万一クルマ転落すると二次被害を生む恐れがあるため、防護柵も特別なものが用いられる。これを「壁高欄」という。以前は鋼製のガードレールが採用されていたが、自動車が衝突しても容易に破損しないこと、管理が容易であるといったことから、コンクリートの壁状構造の壁高欄が採用されるようになった。
壁高欄の正式名称は鉄筋コンクリート壁式防護柵と言い、下部の斜めになっている部分に地面に打ち込むアンカーボルトが内蔵されており、大きな衝撃にも耐える構造となっている。ブロック同士をボルトで連結する構造となっているので、事故などで損傷した際にはブロックごとの交換が可能だ。
これまでは取替性や耐久性を改良した直壁タイプのプレキャスト製品が使用されていたが、最近では車両衝突時の誘導効果を高めるために下部を広げたフロリダ型が用いられるようになっている。
中分植栽(ちゅうぶんしょくさい)
高速道路の中央分離帯には防護柵のうえに板やネットが設置されていることがある。対向車線のヘッドライトを遮ってまぶしさを抑えるのが目的で、こうした設備を「げん光防止施設」と呼ぶ。
げん光防止施設には「しゃ光板」や「しゃ光ネット」などがあるが、植物を使ったタイプを中分植栽と呼ぶ。植えられているのはトウネズミモチやツツジなどが多いが、まぶしさ防止のほかに、道路のカーブ(線形)を分かりやすくしたり、単調になりがちな走行景観に変化をつけるといった効果もあるそうだ。
ブリンカーライト
高速道路だけでなく、一般道の分岐などにも設置されている黄色のランプが上下に点滅する施設がある。これが“ブリンカーライト”だ。
ブリンカーライトは、一般道、高速道路の中央分離帯や道路の分岐部、橋のたもとなど、事故につながる障害物がある場所や見通しの悪い場所に置かれる設備。丸く黄色いランプが上下に点滅するのが一般的だが、最近では一つのものや四角いランプが点滅するものなど様々ある。LEDタイプも増えているが、旧式のランプタイプも都内の主要国道では活躍している。また、筐体の色は黄色が一般的だが、黒や茶色などのバージョンもある。
クッションドラム
ドラムといっても太鼓とかではない。高速道路の出口や分岐点などにブリンカーライトと一緒に設置されているのが、“クッションドラム”だ。
クッションドラムは、道路の分流端や路側の橋脚、標識柱などの場所に設置された標識やブリンカライトなどの固定構造物の前に設置され、路外に逸脱したクルマが衝突するのを防ぐ施設だ。クッションドラムの黄色のプラスチックの容器の中には、水の入った袋がつまっていて、クルマが衝突した際の衝撃を緩和し、車両乗員の被害を低減してくれる。
アイランド
なにやらリゾートっぽさがただようが現実はこれ。交差点内や休憩施設の駐車場内のクルマの流れを安全かつ正しく導けるように、道路のデッドスペースを縁石などで囲み、路面より高くした部分を指す。このアイランド(島)によって、車両の立入を制限し、歩行者の安全を守ることができる。また、高速道路などのインターチェンジなどの料金所にある料金所施設が設置されている場所もアイランドと呼ぶ。
さて、いくつ名前を知っていただろうか。事故やトラブルでこれらの安全設備のお世話にならないためにも、くれぐれも安全な運転を心がけよう。
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