コストパフォーマンスに優れた4WDなのかどうか? も気になる要素だが、降雪地域に生活していたり、ウィンタースポーツを楽しむために冬は雪道を走る機会が多い人にとっては雪道での走行性能は何よりも重要なポイント。
滑りやすい雪道を4輪がしっかりとらえて走れる4WD車は安心だし、そのうえコントローラブルだと雪上ドライブがさらに楽しいものなる。
そこで、今回は国沢光宏氏が雪道を走って楽しめる4WD車を、コンパクトカー、SUV、ミニバンの3つのカテゴリーで各3車を選出!
文:国沢光宏/写真:ベストカー編集部
■コンパクトカーでおすすめの4WDはデミオ
1位 デミオ
2位 スイフト、フィット
正直なところ、コンパクトカーの4WDで楽しさを追求したモデルは存在しない。
というのもユーザーが「FFより高価になってしまうけれど雪降るので4WDじゃなければダメですね」という後ろ向きの気持ちで選ぶからだと思う。
楽しい4WDへのニーズがない、ということ。したがって4WDシステムも必要最小限。スタンバイ式の4WDなど前輪がスリップしなければ後輪に駆動力を伝えない。後輪にモーターを使うシステムも、発進時の補助です。
そんななか、唯一「上級モデルと同じシステムを採用するなど頑張ってますね」なのがデミオ。滑る直前の微妙なスリップ率をセンシングしてさまざまな制御を行う。
滑りやすい状況でのトラクション性能やブレーキ性能は素晴らしいです。ただマツダの場合、滑った時の楽しさをまったく考えていない。
最高の性能を持つ生活4駆です。「滑ること」を容認し、そこでのコントロール性を追求し、さらにパワフルなエンジンなど搭載してきたら素晴らしく楽しいクルマになると思う。
2番手はスイフトとフィットで横並び。どちらも同じような制御内容になっている。すなわち「スタート時は後輪にも駆動力を配分。スリップしなければすぐ後輪の駆動力をカット。
コーナーからの立ち上がり加速でスリップしたら後輪にも駆動力を伝える」というもの。楽しいか楽しくないかは、アンダーステアの度合いや滑った時のコントロール性で決まるのだけれど、両車大差なし。
強いて順位を付けるなら、パワフルなフィットに軍配を挙げておく。雪道もパワー重要です。
■SUVは各メーカーの4WD技術がよくわかる
1位 レガシィアウトバック
2位 エクリプスクロス
(惜しくも3位ならず) CX-5、CX-8の4WD
SUVは各メーカーにとって4WD技術の見せどころ。このクラスで素晴らしい性能を見せれば全体のイメージアップになる。
今までこのジャンル、フォレスターのターボという圧倒的に楽しいクルマがあったのだけれど、フルモデルチェンジで2.5Lになってしまった。
しかも雪道で試乗していない。ということで今回のリストで1位はレガシィアウトバック。滑らせて楽しくパワーもある。もしかしたら新型フォレスターが同等かも。XVについちゃ楽しいけれどパワー不足。
2番手はエクリプスクロス。雪道のクローズドコースを全開で楽しんだのだけれど、久しぶりに三菱自動車らしい4WDだと感じた。
普通に走っていれば滑らず安全をキープ。そして滑らせようとしたら、けっこう景気よくテールが流れるのだけれど、キッチリとコントロールできる。
同じくアウトランダーPHEVも高い速度域までパワフルな後輪モーターの制御を入れているため、気持ちよく曲がってくれます。電気4WDのポテンシャルを感じた。
惜しいのがマツダ(編集部註:マツダのCX-5、CX-8は基本的に同じ4WDシステムを採用)。パワフルなエンジンと多数のセンサーからの情報をキッチリと制御に活かした世界最高レベルの4WDシステムを持つのだけれど「滑り」を容認しない。
「滑らせて曲がる」というスバルや三菱自動車のような方向性とまったく違う。つまり普通の人が乗っても運転上手い人が乗っても同じような走りになってしまう。
滑ることを嫌わず、その領域でステアリング&アクセルコントロールできるようになったら楽しいクルマになると思う。マジメ過ぎです。
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