ひと昔前までは「クルマ借りるならレンタカー」と相場が決まっていたが、最近はコインパーキングなどでカーシェアの看板を見かけることも多くなった。サービス内容も日々進化していて、いまやレンタカー同様の使い方も可能なようだ。
そこでクルマ生活に詳しい渡辺陽一郎氏に、レンタカーとカーシェアはどこが違うのか、どんなふうに使い分ければいいのかについて聞いてみた!
文/渡辺陽一郎、写真/AdobeStock、ベストカーWeb編集部
■スマホの普及が自動車を変えた?
最近は、定額制でクルマを利用するサブスクリプション、レンタカー、カーシェアリングなど、借りて使うサービスが増えた。以前は最終的にクルマの所有権を手に入れる販売が中心だったが、今は需要が伸び悩む。そこで必要な時だけ借りるサービスをユーザーに向けて提案するようになった。
昨今は若年層のクルマ離れが指摘される。この背景には、クルマの価格や維持費が高まったことに加えて、携帯電話やスマートフォンの普及もある。スマートフォンなどを利用すると、その分の使用料金が発生するから、クルマ関連に費やせるお金が減るわけだ。
また携帯電話やスマートフォンには定額制が多く、買い取りをしないユーザーも増えた。新車の販売店からは、次のような話が聞かれる。「携帯電話の普及に伴って、お客様のクルマに対する考え方も変わった。以前は価格がいくらなら購入できるか、と考えたが、今は月々いくらなら支払えるか、と判断される」。
クルマに対する愛着の変化もある。昔のクルマは高額商品で、趣味の対象でもあった。晴天の日曜日には、愛車を磨いて過ごすユーザーも多かった。それが今は日常的なツールになり、新車として売られるクルマの40%近くを軽自動車が占める。「クルマは借りて使うのが合理的」と考えるユーザーも増えた。
その結果、以前は出張や旅行などの移動に使われていたレンタカー、あるいはカーシェアリングが、カーライフの中に入り込んでいる。
■「わ」ナンバーであることはどちらも同じ
そこで気になるのが、レンタカーとカーシェアリングの違いだ。レンタカーはクルマを借りて使うこと、カーシェアリングはクルマを共同所有することだが、実際は後者も業者が貸し出している。カーシェアリングの車両も「自家用自動車有償貸渡業」に使われるから、いわゆる「わ」ナンバーになる。
その上でレンタカーとカーシェアリングの違いを見ると、後者は短時間の利用が可能だ。各社の使用料金を見ると、10分間で150円とか、15分で220円といった料金設定になっている。
カーシェアリングの利用方法は、まずパソコンやスマートフォンを使って予約する。車両は時間貸し駐車場などに置かれ、ユーザーがカードを使って借り出す。
燃料計が半分程度まで減っていたら、ユーザーが車載のカードを使って給油する。汚れている時は洗車も行う。給油や洗車には時間を要するため、15分から30分程度の使用料金がサービスされる。
レンタカーは、カーシェアリングのような短時間の設定はない。最短でもおおむね3時間で、一般的な使用料金は、コンパクトカーが12時間まで5000~7000円、24時間なら7000~9000円といったパターンが多い。
返却や借り出しの時間も異なる。カーシェアリングは、予約ができれば借り出しと返却は24時間にわたり自由に行える。スタッフと顔を合わせることもない。借り出しや返却を行う駐車場などの数は多く、日常的な買い物など、短時間/短距離の移動にも手軽に使える。
レンタカーは営業時間内に、基本的には営業所で借り出しと返却を行う。12時間借りるようなパターンが多い。営業所は、カーシェアリングで使う駐車場ほど、いろいろな場所に点在するわけではない。従って先に述べた通り、出張、旅行、引っ越しなどに使われる。
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