■オデッセイ対抗の高級ロールーフミニバン「プレサージュ」
一般的な「箱型」ではないミニバンが売れた時代。その中でも上級モデルに位置していたプレサージュは、まさに隣の青い芝だった。当時はホンダ・オデッセイやマツダMPVなどと凌ぎを削り、エスティマとも戦いを繰り広げたクルマである。
内外装にはデザインで高級感を与え、オデッセイには絶対的な広さでは劣るものの、シートや内装の作り込みは、ライバルから頭一つ抜けた存在だったと思う。
簡単に収納できる3列目シートや、ガラス部分だけが開閉できるバックドアなど、使い勝手の良さも際立つ。価格の面では、オデッセイやエスティマよりも安価に抑えられているのだ。それでいて安っぽさを感じさせないのは、当時の日産がもつ上手さだったと思う。
お金をかければ、もちろんいいものが作れるが、最小限のコストで満足してもらえるクルマを作るという点では、プレサージュに勝るクルマが見当たらない。
販売現場にいると、最終的には価格の勝負となってくる。買う側には良質廉価で提供するが、第三者が見ればしっかりと高級ミニバンしているプレサージュ。オデッセイと勝負するにもエスティマでは厳しい面が多くあり、プレサージュのようなクルマがあればと、何度考えたことだろう。
■100%EVはプリウスの衝撃と同等「リーフ」
ハイブリッドカーを全面的に押し出し、電気自動車には消極的だったトヨタ。水素自動車の開発は進められていたが、電気自動車がトヨタから登場する日は、ずっと未来の事だろうと、営業マン時代の筆者は考えていた。
こうした中、バッテリーEV(BEV)で先陣を切ったのが日産だ。リーフの登場は、電気の「で」の字もなかったトヨタ販売店にとって、非常に重いものだった。
初代登場時には満充電で200km(実際には100km超)を走行するにとどまった性能も、改良やモデルチェンジを繰り返し、今では最大450km(WLTCモード:リーフe+の場合)と、ガソリン車の満タン時に近い距離を走行できるようになっている。
自宅で充電し、ガソリンスタンドへ立ち寄る必要が無いというのは、地方都市でクルマを使うユーザーにとって大きなメリットだったと思う。
比較的生活に余裕があり、戸建てに住むユーザーにとって、オール電化の住宅に変え、充電スタンドを完備するというのが一種のステータスにもなっていた時代だ。トヨペット店・トヨタ店、そしてレクサスでは「まだトヨタは電気自動車を作らないのか」というユーザーの声を、何百何千と聞いてきたことだろう。
思い返せば技術の日産に、トヨタ販売現場は苦しめられることが多かった。e-4WDやアラウンドビューモニター、ハンズフリーオートスライドドアを筆頭に、近年ではハンズオフ機能が搭載されたプロパイロットなど、トヨタに無かった装備が多数ある。
その度に「なぜトヨタには無い?」と聞かれ、応酬話法を考える日々が続く。
今でもBEVについては、日産の独壇場に近い。SUVのアリア、そして軽自動車ではサクラを登場させ、100%電気自動車のイメージはますます強くなった。
今、現役バリバリの脂が乗り切ったトヨタ営業マンたちが、一度は羨望の眼差しで見たことがある日産車は、間違いなくリーフである。
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今回挙げた3車種以外にも、時代ごとに羨ましく思う日産車は数多くあるだろう。販売現場で思う羨望は、ユーザーの想いにも似た部分があると思う。各社の色は残しつつも、技術や商品力で切磋琢磨し、日本の自動車業界が、一段底上げされること願っている。
コメント
コメントの使い方プレサージュとか、日産が売る気無かった車種筆頭!セレナとエルグランドの間でひっそりと息絶えた。
何かここの記事、日産忖度すげえな。