プレサージュがトヨタにあれば……ディーラーマンが語る!! あの時トヨタに欲しかった日産車3選

■オデッセイ対抗の高級ロールーフミニバン「プレサージュ」

2009年まで販売されていた日産 プレサージュ。当時トヨタで扱っていたエスティマではホンダ オデッセイと渡り合うには厳しく、プレサージュのようなクルマがあればと思っていた
2009年まで販売されていた日産 プレサージュ。当時トヨタで扱っていたエスティマではホンダ オデッセイと渡り合うには厳しく、プレサージュのようなクルマがあればと思っていた

 一般的な「箱型」ではないミニバンが売れた時代。その中でも上級モデルに位置していたプレサージュは、まさに隣の青い芝だった。当時はホンダ・オデッセイやマツダMPVなどと凌ぎを削り、エスティマとも戦いを繰り広げたクルマである。

 内外装にはデザインで高級感を与え、オデッセイには絶対的な広さでは劣るものの、シートや内装の作り込みは、ライバルから頭一つ抜けた存在だったと思う。

 簡単に収納できる3列目シートや、ガラス部分だけが開閉できるバックドアなど、使い勝手の良さも際立つ。価格の面では、オデッセイやエスティマよりも安価に抑えられているのだ。それでいて安っぽさを感じさせないのは、当時の日産がもつ上手さだったと思う。

 お金をかければ、もちろんいいものが作れるが、最小限のコストで満足してもらえるクルマを作るという点では、プレサージュに勝るクルマが見当たらない。

 販売現場にいると、最終的には価格の勝負となってくる。買う側には良質廉価で提供するが、第三者が見ればしっかりと高級ミニバンしているプレサージュ。オデッセイと勝負するにもエスティマでは厳しい面が多くあり、プレサージュのようなクルマがあればと、何度考えたことだろう。

■100%EVはプリウスの衝撃と同等「リーフ」

2010年に初代が登場した日産 リーフ。「100%電気」というリーフの登場は、ハイブリッドの先陣を切ったプリウスの衝撃に勝るとも劣らないものだった
2010年に初代が登場した日産 リーフ。「100%電気」というリーフの登場は、ハイブリッドの先陣を切ったプリウスの衝撃に勝るとも劣らないものだった

 ハイブリッドカーを全面的に押し出し、電気自動車には消極的だったトヨタ。水素自動車の開発は進められていたが、電気自動車がトヨタから登場する日は、ずっと未来の事だろうと、営業マン時代の筆者は考えていた。

 こうした中、バッテリーEV(BEV)で先陣を切ったのが日産だ。リーフの登場は、電気の「で」の字もなかったトヨタ販売店にとって、非常に重いものだった。

 初代登場時には満充電で200km(実際には100km超)を走行するにとどまった性能も、改良やモデルチェンジを繰り返し、今では最大450km(WLTCモード:リーフe+の場合)と、ガソリン車の満タン時に近い距離を走行できるようになっている。

 自宅で充電し、ガソリンスタンドへ立ち寄る必要が無いというのは、地方都市でクルマを使うユーザーにとって大きなメリットだったと思う。

 比較的生活に余裕があり、戸建てに住むユーザーにとって、オール電化の住宅に変え、充電スタンドを完備するというのが一種のステータスにもなっていた時代だ。トヨペット店・トヨタ店、そしてレクサスでは「まだトヨタは電気自動車を作らないのか」というユーザーの声を、何百何千と聞いてきたことだろう。

 思い返せば技術の日産に、トヨタ販売現場は苦しめられることが多かった。e-4WDやアラウンドビューモニター、ハンズフリーオートスライドドアを筆頭に、近年ではハンズオフ機能が搭載されたプロパイロットなど、トヨタに無かった装備が多数ある。

 その度に「なぜトヨタには無い?」と聞かれ、応酬話法を考える日々が続く。

 今でもBEVについては、日産の独壇場に近い。SUVのアリア、そして軽自動車ではサクラを登場させ、100%電気自動車のイメージはますます強くなった。

 今、現役バリバリの脂が乗り切ったトヨタ営業マンたちが、一度は羨望の眼差しで見たことがある日産車は、間違いなくリーフである。

*   *   *

 今回挙げた3車種以外にも、時代ごとに羨ましく思う日産車は数多くあるだろう。販売現場で思う羨望は、ユーザーの想いにも似た部分があると思う。各社の色は残しつつも、技術や商品力で切磋琢磨し、日本の自動車業界が、一段底上げされること願っている。

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