毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回は日産 ウイングロード(1996-2018)をご紹介します。
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文/伊達軍曹、写真/NISSAN
■5ナンバーサイズの小型ステーションワゴンとして登場したウイングロード
サニー カリフォルニアとADワゴンを統合した新ブランドの小型ステーションワゴンとして1996年に誕生。2001年にマイナーチェンジを受けた2代目の後期型はまずまずの人気を博したが、折りからのミニバンブームとその後のSUVの台頭により、2005年登場の3代目は失速。
長らくモデルチェンジされないまま放置され、2018年にようやく生産終了となった5ナンバーサイズワゴン。それが、日産 ウイングロードです。
1996年5月に発売となった初代ウイングロード(Y10型)は、全長4295mm×全幅1670mm×全高1515mm。
ベースになったのはサニー カリフォルニアとADワゴンですが、それらよりもハッチゲートの傾斜を強めたことで、より乗用車的なイメージが強まっていました。
搭載エンジンは1.8Lおよび1.5Lのガソリンと、2Lディーゼルの計3種類。駆動方式はFFのほか、日産が独自開発した「アテーサ」を搭載した4WDも用意されました。
シンプルかつ安価なステーションワゴンとして一定の評価は得たものの、さほどのヒットには至らなかったウイングロードは、1999年5月に2代目(Y11型)へのフルモデルチェンジを実施。
ディーゼルエンジンは廃止され、搭載エンジンは1.5L/1.8Lのガソリンと、可変バルブタイミング機構付きの2Lガソリンに。この2L版のトランスミッションはスポーツモード付きCVTの「ハイパーCVT-M6」になりました。
2代目となっても販売はさほど好転しなかったウイングロードですが、2001年10月にフロントマスクと内装のイメージを大きく変えるマイナーチェンジを実施すると、販売台数は上向きに。このタイミングで2LガソリンエンジンはSR20VE型からQR20DE型に変更されています。
その後はスポーティな意匠の「ライダー」を復活させ、「ライダープラス」も追加しながらまずまず好調な販売を続けていた2代目ウイングロードは、2005年10月には3代目(Y12型)へとフルモデルチェンジされました。
3代目Y12型は大胆なツリ目のヘッドライトを採用し、1.5Lと1.8Lガソリンエンジンを新タイプに刷新。
駆動方式はFFが基本となりますが、モーターアシスト式四輪駆動システム「e-4WD」を採用した4WD版も用意されました。
発売翌年の2006年こそかろうじて販売台数ランキングの20位に入った3代目ウイングロードでしたが、2007年以降は圏外に。
2008年には1.5LエンジンとCVTを改良し、その後も何度かの仕様向上や一部改良などを行ったウイングロードでしたが、販売状況は好転しませんでした。
それでも、長きにわたってしぶとく販売され続けましたが、2018年2月にはさすがに生産終了となり、同年3月には販売も終了。
これにより、日産の国内向け乗用ステーションワゴンは完全に消滅することとなりました。
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