新型クラウンの姿はあれど、EVは1台も… 3年ぶり開催の米デトロイトショーで見えた「日本車の危機」

■日本のEVはソルテラのみ

 明暗はデトロイトショーにまざまざと現われました。

 D3のブースには生産予定のEVが数多く並ぶなか、日本勢ではスバルの「ソルテラ」のプロトタイプが1台置かれているだけで、トヨタのブースには「bZ4X」を含めEVの姿はまったくなかったのです。

トヨタブースには新型クラウンが展示されていたが、bZ4Xを含めEVは1台もなかった
トヨタブースには新型クラウンが展示されていたが、bZ4Xを含めEVは1台もなかった

 トヨタのEV戦略の初動に躓きがあったことは否定できません。

 バイデン大統領はD3の提供するEV体験型アトラクションを楽しんだと報道されていますが、トヨタのブースに立ち寄ることはありませんでした。

 事実、GMの新型EV「エキノックス」をはじめ、D3のEV新商品は非常に魅力的に見えました。

 3万ドル強(税額控除後はわずか2.5万ドル)で購入できる「エキノックス」が米国消費者に受け入れられる可能性を感じ、「RAV4」や「CR-V」で競争力を発揮してきた日本車メーカーの立場は脅かされていると言えます。

 日本車メーカーはハイブリッドの高い競争力に慢心することなく、出遅れたEVの挽回を真剣に目指さなければならないと痛感させるショーであったのです。

●中西孝樹(なかにしたかき):オレゴン大学卒。1994年より自動車産業調査に従事し、国内外多数の経済誌で人気アナリスト1位を獲得。著書多数

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