イヴェコ/なんとEV・FCEVメーカー・ニコラが前面に!
欧州大手5社で最も異色だったのがイヴェコで、米国の大型電動トラックのスタートアップ企業・ニコラの大型EVトラック「トレBEV」、そしてIAA2022が初公開となる大型FCEVトラック「トレFCEV」を大々的に展示したのである。
もちろんイヴェコとニコラに関係がないわけではない。「トレBEV」「トレFCEV」ともにイヴェコ最新の長距離大型トラック「Sウェイ」のコンポーネントを活用し、ドイツに新設した合弁工場で生産される電動トラックという背景があるのだ。もっともイヴェコは、代替燃料車として天然ガス車(NGV)に力を入れてきたものの、2030年代に内燃エンジン車に代わるとしている電動車を「トレ」で補完する意味もある。
展示された「トレBEV」は、4×2セミトラクタと6×2セミトラクタ。後者は北米市場で展開済みだが、イヴェコIAA資料には4×2のみ記載されており、アナウンスがないモデルである。前者の4×2は連結総重量(GCW)44トン仕様で、高電圧バッテリー容量738kWh、連続出力652ps(480kW)のFPT製eアクスルを搭載し、航続距離530km、175kW急速充電器による充電率10→90%に要する時間は162分としている。
初公開の「トレFCEV」は、出力100kWのFCパワーモジュール(ボッシュ製とみられる)2基と重量換算70kgの水素を70メガパスカル圧力タンク、容量164kWhの高電圧バッテリーを備えた、GCW44トンの6×2セミトラクタだ。BEVと共通のeアクスルを搭載し、航続距離は800kmを確保する。2024年にも欧州市場へ投入する計画である。
また、イヴェコ自身も欧州ベストセラーの小型商用車「デイリー」のEVモデル「eデイリー」の新型を発表している。こちらは車両総重量(GVW)3.5~7.2トンというレンジにわたって、パネルバン、キャブ付シャシー、小型バスを展開する。車両の性格は異なるものの、三菱ふそうの「eキャンター」と車格的にほぼ同じで、EV導入ソリューションの提供など共通する特徴も多く、EVトラックの方向性を指し示す重要なモデルといえる。
そしてeデイリーも、eキャンターと同じく高電圧バッテリーモジュールの搭載数が車格・用途によって選択できるようになっている。1基・37kWhで航続距離110~120km、2基・74kWhで航続距離120~235km、3基・111kWhで航続距離180~300kmとしている。モーターは最高出力190ps(140kW)・最大トルク400Nmを搭載。架装用のePTO(出力15kW)も設定しており、ブースでは、GVW4.25トンの「42S14E」冷凍車とGVW5.2トンの「50C14E」高所作業車が展示された。
さらに、韓国・ヒョンデ自動車と燃料電池車「eデイリーFCEV」の共同開発も発表した。eデイリーGVW7.2トンシャシーをベースに、ヒョンデ製FCシステム(出力90kW)と重量換算12kgの水素を搭載するもので、最大積載量3トン、航続距離350kmを実現するという。
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