■ディーゼルの二酸化炭素排出量は意外と少ない
今後の動向はどうなのか。CX-60の開発者は「海外ではディーゼルの売れ行きに伸び悩みの傾向も見られ、PHEVは主に欧州市場を視野に入れて設定した」という。
マツダの方針として、2022年から2025年にかけて、ハイブリッドの新型車を5車種、プラグインハイブリッドを5車種、電気自動車を3車種投入するとしている。
この後、2025年から2030年には、複数の電気自動車を導入して、2030年にはすべてのマツダ車に電動技術(エンジンを併用するハイブリッドを含む)を搭載する予定だ。この時の電気自動車の販売比率は25%を想定しているという。
ホンダは2040年までにすべての新車を電気自動車か燃料電池車にする目標を示しており、内燃機関は廃止する計画だ。これに比べるとマツダは、内燃機関とモーター駆動を併用する期間が長いと受け取られる。
直列6気筒3.3Lディーゼルは、新たに設計されたエンジンだから、今後10年以上は使うだろう。つまり2035年頃までは搭載するから、少なくともそれまでに、内燃機関を廃止することは考えにくい。
CX-60に搭載される各パワーユニットの二酸化炭素排出量を売れ筋グレードの4WD仕様で見ると、直列4気筒2.5Lガソリンが167g/km、直列6気筒3.3Lクリーンディーゼルターボは127g/km、ディーゼルのマイルドハイブリッドは123g/km、PHEVは159g/kmとされる。
ディーゼルの二酸化炭素排出量は、ガソリンの76%に収まる。
しかもディーゼルの最大トルクは51kgm、ガソリンは25.5kgmだ。ディーゼルはターボの併用により、ガソリンの2倍に達する最大トルクを発生させて、なおかつ二酸化炭素の排出量は大幅に低減した。
PHEVは充電された電気だけでも走行できるから、再生可能エネルギーによる電気を積極的に使えば、二酸化炭素排出量の発生も大幅に減らせる。それでも給油して走る用途では、ディーゼルは二酸化炭素の排出量を効果的に抑えられる。
最終的には、クルマの動力は電気に置き換わる。欧州には、既にCX-60のPHEVだけを販売している地域もある。従ってマツダの直列6気筒ディーゼルは、乗用車に使われるエンジンとしては最終世代に属するが、動力性能の割に二酸化炭素排出量と燃料消費量が少ない。エンジンの役割を最後まで果たす。
日本の自動車メーカーは、マツダを含めて世界各国でクルマを販売している。開発者は「アフリカのように充電環境の整っていない地域では、今後もエンジンを搭載したクルマのニーズが続く。そこを(充電環境の整っていない地域のユーザーを)見捨てることはできない」と述べている。
■これからディーゼル車の運命は?
ディーゼル車の新車販売については、現時点の規制や法規から考えれば、2035年まで販売できる。
ノルウェーの2025年が一番早く、ドイツ、イギリス、オランダ、スウェーデンが2030年、中国、アメリカ、日本が2035年までに新車販売禁止としている。都市としては東京、ロサンゼルスが2030年、カリフォルニア州、ニューヨーク州が2035年。
ガソリン車、ディーゼル車を通行禁止とする主要都市としては、バルセロナが2020年までに2000年以前に生産された純ガソリン車および2006年以前に生産されたディーゼル車が通行禁止としたほか、パリは2025年までにすべてのディーゼル車の通行禁止としている。
コペンハーゲン、アムステルダム、ロンドン、ミラノ、ロサンゼルスは2030年までにガソリン車およびディーゼル車の中心地へ乗り入れ禁止としている。ここに挙げた都市以外でも中心地への乗り入れ禁止とする多く、今後さらに広がっていくと思われる。
日本政府は2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げているため、少なくとも2050年までは、ガソリンスタンドでガソリンや軽油が販売されているだろう。
今、新車のディーゼル車を買えばいつまで乗れるのか? 少なくとも27年は乗り続けられる。一方、ディーゼル車の新車販売は前述の通り、東京都の場合はあと7年あまり、それ以外の地域ではあと12年買うことができる。
【画像ギャラリー】買えるのはあと何年!? 新開発ディーゼルエンジン搭載のマツダ CX-60と各社ディーゼルエンジン搭載車(12枚)画像ギャラリー
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