■商品戦略を変える旗振り役にトヨタの寺師茂樹氏はまさに適任!
トヨタ、明らかに昨今の電気自動車への強い流れを過小評価しているし、ライバルたちの急成長も予想していなかったと思う。bZ4X/ソルテラの開発チーム、ヒョンデのアイオニック5が出ても、急いで試乗しようという動きはなかった。
かくいう私もアイオニック5に乗って「こらヤバイ!」と状況を理解した次第。bZ4X、どんな評価基準を持ってしてもアイオニック5に届いていない。
もちろん、トヨタの中にも「このままだと負ける!」と認識する人がたくさん出てきたものの、どんな企業にも言えることながら、自分の職域外のことはできない。
例えば、ハイブリッドを使う次期型車を開発している人が電気自動車を開発したくても無理。37万人ほどいるトヨタ社員のうち、規模が大きい商品戦略を決められるのは上を見て20人くらいしかいないと思う。
ロイターのニュースを読んでみると具体的な内容が多く、信憑性も高い。「e-TNGAを使って電気自動車を作っても勝てない?」と検討しているチームは寺師茂樹さん(トヨタエグゼクティブフェロー)が中心になっていると書いてあるけれど、さもありなん。
寺師さん、現実的かつ素晴らしい見識を持っている。逆に考えると今のトヨタの商品戦略を大きく変えられるのは寺師さんくらいしかいないと思う。適役です。
■豊田章男社長の気概は「やるなら、もっといいEVを作ろう!」
となると気になるのが豊田章男社長の裁量。広く知られているとおり、電気自動車をあまり好んでいない。ただ、章男ウォッチャーの私からすれば「電気自動車なんか絶対やめろ」ということじゃない気がする。
日本の自動車の歴史を考えると、先日逝去された久米元ホンダ社長が、空冷絶対主義者だった本田宗一郎さんと争った時を思い出す。最後は本田宗一郎さんも水冷を容認した。
加えて章男社長、水冷絶対反対だった本田宗一郎さんより明らかに電気自動車を理解している。現在のトヨタを見ると、章男社長に熱意を持って電気自動車論を展開する人がいないだけのように思える。
表現を変えると「もっといいトヨタにしたい!」という熱い気持ちを持たないと厳しいんじゃなかろうか。寺師さんならできると思う。このチームが本格的に動き出せば心強い。
ただ、ロイターの記事にあるとおり時間がない。燃料タンクなど電気自動車だと不要な装備を除いたり、よりコストダウン可能な新しい電気自動車専用のプラットフォームやパワーユニットを開発したりしようとしたら製品化まで3年以上かかる。
2026年あたりから始まる可能性が高まった世界規模の電気自動車ニーズの急増に対応しようとしたら今決断するしかない。新しい情報があれば随時レポートします。
【画像ギャラリー】突如、巻き起こったトヨタのEV戦略見直し報道! いやいや、豊田章男社長は本気でやる気のようだ!!(28枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方