アルファード専用のキャリパーは見た目だけじゃないゾ!! 曙ブレーキ初の市販品「AWP Brake Caliper」が思った以上にすごかった!!

待て、社用車のアルファードカッコよすぎる!! オレンジキャリパーは社長のこだわり

曙ブレーキの操業は1929年。それに由来して社用車のナンバープレートは決まってこの番号なのだとか
曙ブレーキの操業は1929年。それに由来して社用車のナンバープレートは決まってこの番号なのだとか

 前置きが長くなってしまったがいよいよ実車試乗だ。用意されていたのは「アルファード エグゼクティブラウンジ」。走行3万5000km。

 装着していたのは、アルパインスタイルBTC basicのホイールに、BSレグノGRVⅡ245/40R20を組み合わせたもの。ちなみに筆者が先月試乗した広報車は、純正ホイールにヨコハマブルーアースE51 225/60R17を装着していた。比較はこのクルマとだ。

 黒塗りのアルファード。ホイールの間から「Akebono」ロゴ入りのオレンジ色のキャリパーが見える。

「クルマがクロだから、キャリパーはハデな色にしようと思ってオレンジを選びました」(宮地社長)。ウーン、クルマ好きの発言だ。キャリパーはオレンジのほかにレッド、ブルー、ホワイト、シルバーの全5色が用意されている。もちろん効き味は同じ(笑)。

市街地の停止間際の挙動がお見事!! マイルドなのに思い通りに減速するのも◎

停止直前にペダルを緩めなくとも、自然に減速&停止してくれるのだ。運転のしやすさだけでなく、同乗者の快適性も担保!!
停止直前にペダルを緩めなくとも、自然に減速&停止してくれるのだ。運転のしやすさだけでなく、同乗者の快適性も担保!!

 さっそく試乗に出掛ける。新型ブレーキキャリパーの効果は、最初の角を曲がるために減速したときから体感できた。フツー街中で減速して車体が停止するとき、運転に慣れている人はペダルを踏む足の力を瞬間的に抜いている。それは、そのままペダルを踏みつけていると最後に、ギッとブレーキに力がかかり、急に停まるからだ。

 その最後の締めつけるような動きがない。ペダルを踏んだ状態でもスーッと停止する。

試乗直後から「純正と違う! スムースな減速がイイ」と石川氏
試乗直後から「純正と違う! スムースな減速がイイ」と石川氏

 次に首都高に入り、加速する。前方の車との距離が近くなり、ブレーキを踏む。アルファードは減速するが、このときの動きが、その前に試乗したアルファードと明らかに違っていた。ノーズダイブが少ない。

 ブレーキペダルに足をのせ、力を入れる。瞬時にジワッと減速する。その前のアルファードは、踏んだ瞬間に若干だが、空走するような時間がある。いわゆる初期制動がやや甘く感じられるというやつだ。

 それがないので、とてもスムーズに減速できる。初期制動が効く、というのはこんなにも安心して高速走行ができるのか、とドライバーは思うに違いない。かといって、スポーツカー的に、ペダルを踏むと、ガツンと効くというのとも違う。効き味がマイルドなのだ。

挙動の良さは新開発の構造が答え。ボディ挙動も制御ってマジ!?

踏んだ瞬間から減速されるイメージ。スポーツカーの大径ブレーキとはことなり自然さが魅力なのだ!!
踏んだ瞬間から減速されるイメージ。スポーツカーの大径ブレーキとはことなり自然さが魅力なのだ!!

 試乗を終え、本社の駐車場に戻る。さっそく開発担当者にインプレッションを告げる。試乗する前にひと通りのレクチャーを受けていたことが、ひとつひとつ納得できた。

 マイルドだが、効き味の鋭さは、今回のブレーキキャリパー開発のために考え出された構造によるものだった。その構造というのは、純正のフロントブレーキは、もちろんディスクブレーキなのだが、ブレーキをかけると、まず車輪に近い内側のパッドがディスクに触れ、減速を促す。その後に、外側のパッドが動き、ディスクを押さえる。このタイムラグが、初期制動のタイムラグにもつながる。

 一方スポーツカーのようなハードブレーキは、対向ピストンを備えており、内外のパッドが同時にディスクを押さえる。だからガツンと効く。

 曙ブレーキがアルファード/ヴェルファイア用に開発した「アケボノダブルピストンブレーキキャリパー」(AWP)は、内側のパッドがディスクを押さえるとほぼ同時、若干のタイム差で即、外側のパッドが押さえ、減速に入るだ。この両側のパッドの動きの時差が、マイルドだが、確実な減速のタネ明しなのだ。このブレーキパッドの効きは、ボディの挙動も制御しているという。

 さらにパッドの素材も専用に開発され、ダストの排出も少ない。駐車場に停めたアルファードのフロントホイールを指でこすってみたが、パッドのダストは手につかなかった。

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