クルーズコントロールやハンドル操舵アシストなどが普及し、長距離のドライブでもずいぶん運転がラクになりました。ただ、運転操作はラクになっても、「そんなことより(腰が痛くて)座っていることが辛い…」というドライバーは多いはず。運転中、ドライバーは姿勢を変えることができないため、腰痛を引き起こしやすく、クルマ好きの運命ともいえます。
実は筆者も腰痛持ち。腰痛解消を得意とする整体にも通い、対処方法を教わってきているのですが、いったん痛みを感じてしまうと、数日間悩まされてしまうため、できるだけ痛くならないよう、日ごろから注意をしています。筆者の実体験も踏まえつつ、クルマの運転で腰痛を引き起こさないようにするポイントをいくつかご紹介します。
文:吉川賢一
アイキャッチ写真:Adobe Stock_Jo Panuwat D
写真:Adobe Stock、写真AC
「血行不良」が主な原因
運転による腰痛の主な原因は「血行不良」だそう。立っているときには両足へと分散されていた上半身の重みが、シートへ座っていることで腰へと集中してしまい、加えて運転中は姿勢を変えられないことから、血流が悪化して神経を圧迫、腰痛となってしまうようです。
また、AT車の場合、左足を使う機会がほぼないため(あったとしても、左足で踏むタイプのパーキングブレーキ程度)、左の膝を曲げた姿勢で運転している方もいます。左足は、フットレストに足を置くことで、膝から下への血の流れは保たれるのですが、曲げたほうが楽であるため、ついついやってしまいがち。膝を曲げていることで、血流が妨げられてしまい、いわゆる「エコノミー症候群」の要因となってしまうようです。
原因は分かっていても、対策が難しい運転による腰痛。以下で、筆者も実践している、腰痛の発生を抑制できる運転姿勢や対処法をいくつかご紹介しましょう。
ポイントは座った状態で「背骨のS字ライン」を保つこと
長時間座っていることによる腰痛は、「背骨を意識した座り方」で予防できるそう。「背骨を意識した姿勢」とは、背骨全体が大きなS字となることを意識すること。猫背でも胸を張った状態でもないニュートラルな状態でで、仙骨(お尻にちかい位置にある骨)よりも腰椎(お尻のすぐ上にのっている背骨)が前側に来るような姿勢が最も良いとされているそうです。立っているとき、人間の背骨は大きなS字となっていますが、椅子やクルマのシートに座っているときにもこのS字ラインを保つことが、腰痛を防ぐポイントだそうです。具体的には、下記の3つが注意点です。
1.シートの奥に腰がくるよう、深めにかける(左足でフットレストがしっかり踏める位置)
2.ランバーサポートがあるならば、できるだけ前に出す(ない場合にはクッションなどを挟む)
3.寝そべらないようにシートの背もたれは起こし気味にする
シートに深く座ることで、ハンドルやアクセル・ブレーキペダルが遠くなったように感じると思います。左足フットレストに足が届くようシート前後位置を合わせ、ハンドルを握ったまま180度回しても、肘が伸び切らない程度の位置にチルト(角度調節)、テレスコピック(前後調節)を使って合わせます。
力を抜いてリラックスしてしまうと、どうしても猫背になりがち。猫背になると、どうしても仙骨が前方に出た姿勢となり、仙骨に負担がかかると、腰痛を引き起こしてしまうそうです。腰を前に「グッ」と押し出すような姿勢を保つのは辛そうに感じますが、長時間運転では、この姿勢のほうが、腰痛を抑えられるそうです。
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