ベンツCクラス、BMW3シリーズ、VWゴルフ。この3台に乗っていれば「間違いなし」なんてイメージを持っている人も多いだろう。
たしかにどのクルマもベンチマークとされる車種であり、完成度の高さ、そして最新技術の導入などメーカーも特に力を注いでいる車種だ。
しかし!! そんな3台にも必ずしやウィークポイントがあるはず。今回はコスパの鬼、自動車ジャーナリストの渡辺陽一郎氏に各車を分析してもらいました。
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部
■そもそもドイツ車のよさとはどこにある?
最近はクルマの価値観も多様化しているが、本質は「走る・曲がる・止まる」という走行性能だ。この分野では、以前からドイツ車が優れていた。
ドイツなどの欧州では走行速度が全般的に高く、走行性能で手を抜けば、乗員や周囲の人達が危険に巻き込まれる。ユーザーも安全性を確保するために走行性能に敏感だから、必然的に向上した。
そして安全と走行性能には、エンジンやサスペンションだけでなく、クルマのすべてが影響を与える。インパネの視認性や操作性が悪ければ、正確な運転操作が行えず安全性を悪化させる。
シートも同様で、正しい運転姿勢と長時間運転でも疲労しにくい快適性が確保されないと、同様に安全性を妨げてしまう。
表現を変えると、クルマの機能やデザインで、安全に影響しない部分はひとつもない。スイッチやレバーの形状とか、内外装の色彩も、安全にかかわる。
ドイツ車は、以上のような点を大切に開発されるから、機能が全般的に優れたクルマに仕上がりやすい。
ただしそれでも欠点はある。今は日本車の走行性能も高まり、ドイツ車に勝てる機能も増えた。ここでは欧州を代表するドイツブランド3車種の欠点をガイドしたい。
■Cクラスは硬めの乗り味が穏やかではない
まずメルセデスベンツCクラスだが、2018年10月に比較的規模の大きなマイナーチェンジを実施した。さまざまな機能が向上したが、市街地を時速30~40kmで走ると、乗り心地が少し硬めでコツコツする。
粗さはないが、穏やかな乗り心地ともいえない。Cクラスに限らず、ドイツ車は前述のように高めの速度域を基準にすることが多く、日本の走行環境では乗り心地が硬く感じられやすい。
取りまわし性については、Cクラスはセダンでもボンネットの可視範囲があまり広くない。サイドウインドーの下端は高めだから、側方視界も良好ではない。
全高はセダンとして低くないが、前後のピラー(柱)を寝かせたから、乗員が乗り降りする時は頭部を下げる姿勢になる。乗降性もいま一歩だ。
ちなみに1993年に発売された初代Cクラスは、サイドウインドーの下端が低めで視界が優れ、ボディの四隅も分かりやすかった。
ピラーの角度も立っていたから、取りまわし性や乗降性は、現行Cクラスよりも優れていた。近年のクルマは全般的にボディを肥大化させ、視界も悪くなり、運転がしにくく感じられる。
エンジンはC200にマイルドハイブリッドシステムを併用する直列4気筒1.5Lターボを加えた。最高出力は184馬力、最大トルクは28.6kg-mで、JC08モード燃費は13.6km/Lになる。
C180が搭載する旧来の1.6Lターボは、156馬力・25.5kg-m・14.1km/Lだ。1.5Lマイルドハイブリッドターボは、1.6Lターボに比べて動力性能は少し高いが、JC08モード燃費は負けている。
性能の数値を見る限り、C200のマイルドハイブリッドは説得力が弱い。
価格はC180アバンギャルドが495万円、C200アバンギャルドは560万円だから65万円高い。この内、装備の違いを補正すると、パワートレーンに基づく実質価格差は約30万円だ。
1.5Lターボにそれだけの違いを見い出せるかは、ユーザーに応じて判断が変わるだろう。
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