■トヨタ全店併売は一歩間違えれば逆効果になりかねない
今のトヨタの販売店は4系列に分かれる。専売車種もあり、クラウンはトヨタ店、ハリアーはトヨペット店、カローラはトヨタカローラ店、ヴィッツはネッツトヨタ店でないと買えない。
全店が全車を売る他メーカーに比べ、取り扱い車種に販売を集中できるトヨタならではの利点だ。ただし最近は、プリウスなどのハイブリッド車を中心に売れ筋車種が全店併売になった。
系列の形骸化が進み、東京ではついに2019年4月に4系列の販売会社をトヨタモビリティ東京として1社に統合する。
この統合は東京の4系列がすでにメーカー直営だからできることで、複数の地場資本が混在する地域では難しい。
それでもトヨタは国内で売られる60車種を半数に絞る戦略を打ち出したから、系列が残っても取り扱い車種は全店併売に向かうだろう。
これではトヨタのよさは薄れる。トヨタは系列化によって扱う車種数を抑え、販売力を集中して優良な売り方をしてきたからだ。
例えばトヨタ店がパッソを扱ったり、ネッツ店がクラウンを売れば、店舗の雰囲気が曖昧になる。
踏み出したばかりの”全店全車併売”だが、今一度整理したほうがいいとホントに思う。売る側の各商品に対する愛着が薄まり、今までどおりに販売が伸びないと思うから。
■エンジンの設定を整理すればクルマの魅力もアップ
各車種には複数のエンジンが用意されるが、不要なタイプもあると私は思う。例えばCX-5やアテンザの2WD搭載の2Lガソリン。
普通に走るなら問題ないが、これらのマツダ車はスポーティな性格もあるから、この2WDも4WDやLパッケージと同じ2.5Lにすべき。
しかも2WDと4WDの価格差を見ると、4WDの価格に500ccの排気量増加は上乗せされていない。つまり2Lと2.5Lは同額だ。法人需要が想定される最廉価の20Sグレード以外は2.5Lが好ましい。
ノートのスーパーチャージャーは、e-POWERの登場で選ぶ価値を失った。e-POWERは動力性能がさらに高く低燃費。
「スーチャー」の座をすっかり奪った。また、アクセラセダンのハイブリッドは、走りの楽しさを重視するクルマの性格に合わない。
キャラに合わないエンジンは大掃除したほうがラインナップもすっきりする。
まだある。ランドクルーザープラドでは、2.7Lガソリンを整理したい。動力性能が貧弱で魅力が乏しく、選ぶなら断然2.8Lディーゼル。
後者はエコカー減税が免税だから購入時の税金も安い。2.8Lディーゼルには選ばれる理由があるのだ。さらにヴィッツの3気筒1Lは、動力性能が低くノイズは粗い。
4気筒1.3Lと価格を比べると、装備差を補正すれば価格差はわずか約5万円。驚きの数字だ。1.3Lが断然買い得で、燃費数値も1Lより優れる。不要ともとれるエンジンは大掃除したほうがよさそうだ。
■わけのわからない「サポカー」の設定を見なおそう
経済産業省や国土交通省が「サポカー」(セーフティ・サポートカー)の普及活動を行っているが、イマイチ普及しないのは区分のわかりにくさ。
「サポカー」=自動ブレーキを備えるクルマだが、このなかに「サポカーS」があり、ペダル踏み間違い時の加速抑制装置などを備えた高齢ドライバーに「推奨」されるクルマだ。
推奨ならいいが、ときどき「高齢ドライバー向け」と表現されることもあり、余計にややこしい。
そのサポカーSはさらに細分化され、「サポカーSベーシック」=車両に対する低速用の自動ブレーキ(赤外線レーザー方式)を備えたタイプ。
「サポカーSベーシック+」=車両向け自動ブレーキの作動上限速度が高まる。……など、これでもかというほどの細分化。
こんなに細分化したのに衝突時のサイド&カーテンエアバッグ装備など、車種ごとに違いがあり、サポカーのマークだけではこのクルマの安全装備の全容がすぐにわからない。
これはもう一度きっちりと整理して、わかりやすく再構築しないとユーザーとの距離はなかなか縮まらないと思う。
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