ホンダ シビックe:HEVのライバルはひとクラス上!? 400万円近い価格は割高か、否か?

■割高感のあるシビックe:HEVのライバルは?

2017年に登場した現行カムリ。「WS」はエッジの利いたスポーティなデザインと上質感を両立させたグレード。価格は393万7000円
2017年に登場した現行カムリ。「WS」はエッジの利いたスポーティなデザインと上質感を両立させたグレード。価格は393万7000円

 このようにシビックの価格は、ひとまわり大きなボディを備えた車種と同等だから、シビックe:HEVのライバル車もLサイズハイブリッドセダンのカムリWSだ。価格は393万7000円だから、シビックe:HEVの394万200円とほぼ等しい。

 装備を比べると、シビックにはBOSEプレミアムサウンドシステムや助手席の電動調節機能が標準装着されるが、カムリはオプション設定だ。オプション価格は、JBLプレミアムサウンドシステムが8万300円、助手席パワーシートはステアリングホイールの電動チルト&テレスコピック機能などと併せて5万7200円になる。

 その一方でカムリは、100V・1500Wの電源コンセントなどを標準装着したから、装備の水準は同程度と考えて良い。WLTCモード燃費は、カムリWSが24.3km/Lだから、シビックe:HEVの24.2km/Lに近い。その代わり動力性能は、シビックe:HEVが少し力強く、操舵感覚などもスポーティに仕上げている。

 カムリが優れているのは居住性だ。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は、カムリなら握りコブシ3つ弱になる。対するシビックは握りコブシ2つ分だ。後席で聞こえるノイズも異なり、カムリはセダンらしく静かだが、シビックは5ドアハッチバックだから後輪が路上を転がる音が少し耳障りだ。

 このようにシビックe:HEVとカムリWSは、燃費性能と価格はほぼ同じだが、走行性能と走りの楽しさはシビックe:HEV、居住性はカムリWSがそれぞれ優れている。

 シビックとカムリではボディサイズが異なるが、シビックとプリウスなら同程度になる。プリウスの全長は4575mm、全幅は1760mmに収まるからだ。

 WLTCモード燃費は、プリウスが数値の最も悪いグレードでも27.2km/Lだ。シビックe:HEVの24.2km/Lに比べて優れている。

 価格はプリウスで最上級グレードになるAプレミアムツーリングセレクションが344万2000円だ。このグレードの装備には、本革シート、100V・1500Wの電源コンセントなどがある。シビックe:HEVは、オーディオなどを充実させたが、装備の水準はプリウスAプレミアムツーリングセレクションと同程度だ。そしてシビックe:HEVの価格は、プリウスAプレミアムツーリングセレクションよりも約50万円高い。

■ライバルと比較すると30万円の値下げが妥当!?

 以上のようにシビックe:HEVの内容は、トヨタ車でいえばボディの大きなカムリと同等だ。同サイズのプリウスに比べると、価格が50万円くらい高くなる。燃費性能はカムリと同等で、プリウスよりは悪い。

 そうなるとシビックe:HEVの評価は、走行性能、運転感覚、乗り心地、内外装の質感などで決まる。この点を判断すると、プリウスAプレミアムツーリングセレクションを50万円上まわるのは高過ぎる。差額は20万円が妥当で、シビックe:HEVは30万円の値下げをするのが妥当だ。

 つまりシビックe:HEVの価格は364万200円にすべきで、生産を終えるインサイトプレミアムスタイルの368万5000円に近い。

 ちなみにインサイトの価格は、ミドルサイズのハイブリッドセダンとして妥当だった。インサイトは地味で不人気だったが、内外装の質感や居住性も優れ、「売れていないけれど良いクルマ」の代表だった。シビックe:HEVも、もう少しインサイトを意識して、価格などを決めるべきだったと思う。

 ホンダのクルマ造りは、概して従来型からの継続性を軽視する。束縛されない自由な商品開発を行えるメリットがある半面、裏目に出ることも多く、シビックe:HEVもそこに含まれる。

【画像ギャラリー】シビックe:HEVはやっぱり割高!? ライバルであるカムリと写真で見比べる!(19枚)画像ギャラリー

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