【桂 伸一が選ぶナンバー1】 トヨタ カムリ
採点を見比べると、なんと決定打のない横並び平均採点なんだ! と思うが、クルマの印象を思い描きながら採点すると、事実そうなるのだ。
つまり各社それぞれに完成度の高いセダンの代表ばかりが揃ったということだ。
言えることは、相変わらずドイツ勢の完成度の高さは群を抜いている。だが、それでも採点に差があるのは、操縦特性と安定性と乗り味を含めた走行性能から、個性がどれだけあるのかで配点が変わるからだ。
世界の規準とも言えるベンツCクラスよりも、BMW3シリーズと日本未導入のボルボの新生S60とジャガーXEが勝っているのは、純粋に個性が際立っているからだ。
BMW3シリーズは言うまでもなく指一本の動きに反応する(同ジュリア)極めて明快な応答性と、アクセルで姿勢をコントロールできるFRらしさが優れている。ボルボS60は圧倒的なボディ剛性感の高さと、AWDを意識させない操縦安定性がAWDの元祖アウディをも凌ぐから。ジャガーXEはスポーツカーのような操縦性としっとりしたジャガー伝統の乗り味が強い個性として光るため。
国産最高点は日本を代表するクラウン、ではなくカムリWSに与えたのは、トヨタの持病とも言える走行中のシャーシフロアの共振、いわゆるブルブル振動が少なく、操縦性と乗り味、2.5Lエンジンとモーターによる動力性能と回生ブレーキの制御が、操作に対して自然な操縦感覚に熟成されているから。
では何故同じシャーシのレクサスESが同評価にならないのか? は、レクサスに期待する高品位さや乗り味と静粛性等がまだ価格に見合う仕上がりになっていないため。
いまや軽を含めてハイトワゴンやSUVが増殖して、特にセダンは視界の面で住み難い世の中になった。とはいえクルマの原点はセダンにある。背の高いSUVが合わない方は、個性の強いセダンを選択することがクルマ生活を楽しくしてくれるハズ。
【まとめ】 群雄割拠のスポーツセダン 総合1位はBMW3シリーズ!
いかがだっただろうか。両氏ともスポーツセダンにとても詳しい評論家だが、採点結果がばらけた。桂氏は95点が3台ながら、無理をお願いして1位を選んでもらったらカムリという結果に。両氏とも欧米のスポーツセダンに高評価を与えていたが、ナンバー1に国産車を選択している点がポイントだ。
両氏の点数を鑑みて、総合1位はBMW3シリーズとしたい。ナンバー1に挙げないまでも、両氏のトップ3にランクインした唯一のクルマであり、誰しもが楽しめるスポーツセダンと言っていいのではないだろうか。
SUVやコンパクトカーといった勢力に押され気味のセダンではあるが、本企画がその魅力を改めて考えみる、そして販売店に足を運び、実際にクルマを見てみるきっかけとなれば幸いだ。
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