■1980年代からインドに着目! 市場としてのポテンシャルはまだまだ高い
インド市場といえば、スズキ元会長の鈴木修氏がインド政府から提案されて国民車構想に共感し、1980年代からマルチ・スズキとしてインドに適したモデルを続々と導入し、市場規模を拡大してきた。
1980年代のインドといえば、日本企業にとって未知の領域であったが、鈴木氏はスズキがグローバルで事業規模を拡大するには、北米や欧州などすでに成熟している市場ではなく、人口ボーナスと呼ばれる購買力のある若い世代の絶対数が多いインドに着目した。
1980年代から1990年代にかけて、スズキはインド各地で地域密着型の販売網をコツコツと拡げていった。そうした”種まき”の成果が、2000年代中盤以降に一気に開花することになる。
いわゆるBRICsと呼ばれる、ブラジル、ロシア、インド、中国、さらに南アフリカなどの経済新興国にグローバルからの注目が集まったのだ。若い人材や資源が多く、高い経済成長率が見込まれるとされたBRICsでは、自動車販売台数も上昇していった。
なかでも中国は中国政府による絶大な自動車産業政策により、外資メーカーと中国地場メーカーとの合弁事業による生産拡大を進めた結果、アメリカを抜いて自動車生産・販売ともに世界第一位に上りつめた。
一方、インドは国内で文化や風習が異なるさまざまな地域が存在し、また電気などのインフラ整備が遅れた地域も多いことなどが影響し、人口では中国に匹敵する10億人超え市場ながら、自動車販売台数では中国に比べて伸び方が低かったといえる。
だが、中国市場に高止まり感が出てきている一方、インドはスズキが指摘するようにSUV市場がこれから拡大の兆しがあるなど、市場としてのポテンシャルはまだまだ大きいといえるだろう。
最後に日本市場だが、半導体不足などの影響により、6.4%減の13万3000台。このうち軽自動車が全体の84%を占める。
こうしたグローバルでスズキの動きを俯瞰すると、インドを最重要市場として位置付け、「その他地域」では大きな伸び率の望める地域をしっかり強化しつつ、地元日本では軽を中核として着実な歩みを進めているという実情が見て取れる。
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