最近の円安の影響を受けているのは、日本車よりも輸入車かもしれない。国内でも価格を改定したメーカーがでているが、輸入車の車両価格はさらに急上昇している。輸入車の価格の今後を国沢光宏氏が解説する。なおテスラは2023年1月に大幅値下げを実施している。
※本稿は2022年11月のものです
文/国沢光宏、写真/Tesla、AdobeStock
初出/ベストカー2022年12月26日号
■納車時に値上がりして炎上するケースも…!? 輸入車の価格事情
激しい円安により輸入車価格が急上昇している。
4回の値上げを行ったプジョーなどステランティスの取り扱い車種は、2022年初頭から平均して10%の値上げ。
BMWで2~3%。VWは5%前後の値上げ。ボルボの電気自動車も10%の値上げ等々。
はたまたメルセデスCクラスのようにフルモデルチェンジを境に150万円という大幅な価格変更などしてくるインポーターも出てきた。今後どうなっていくだろう?
まず値上げの根拠を考察してみよう。
1ユーロ=120円の時、日本で税込み500万円のプライスタグ付けていた輸入車だったとしよう。現地工場からの出荷価格は大ざっぱに考えて3万ユーロほど(約360万円)。
それに輸送費や日本の消費税、インポーターの利益など加わり500万円になる。
1ユーロ=145円になると435万円。それだけで75万円の値上がり要因になってしまう。昨今の情勢だと海上輸送料も高騰しているため、もっと厳しい?
一方、現状を見るとステランティスこそ10%の値上げをしているが、それ以外は5%程度の値上げで頑張っている。
インポーターとしては為替変動で頒価を変えたくない。なんとなれば、円高になったら値下げしなくちゃならないからだ。
自動車というビジネス、価格を「時価」のようにしたら、いろんな意味でややこしくなる。加えて現在輸入しているクルマは円建て決済が多く、本社サイドで耐えているケースも。
とはいえこのまま円安が続けば耐えきれなくなること必至。2023年から10%程度の値上げを余儀なくされることだろう。
メルセデスのように新型車で大幅値上げすることも考えられます。
もし輸入車の購入を考えているなら、値上げする前に動いたほうがいいかもしれない。多くのディーラーは値上がりしても契約した時の価格で購入できる。
契約した後に値上がりしたら実質的な大幅値引きをしてもらったようなもの。10%の値上げ、激しく痛い。
注意して欲しいのは、ここにきてSNSを炎上させているステランティスの取り扱いモデル。
400万円で契約したのに納車時「値上げしたので40万円上乗せになります」という酷いビジネスをやっているという。
ステランティスによれば「ウチはナンバー取得した時点で契約が成立することを明記しています。ナンバー取得前の契約時から値上がりしていれば当然ながら支払っていただく」。
確かに契約書に記載されれば法律上の問題はないのかもしれない。されど今までそんなビジネスしてるディーラーなんかない。
逆に考えたら契約しても、ナンバー取得前にさらによい条件を出してくれるディーラーがあればドタキャンしてもいいということになる。
はたまた今後、円高に戻る流れになった時も、値下げしたら高い時の契約をキャンセルして値下げ後の価格で買えばいい。
クルマのような高額商品を簡単にキャンセルできるようになったら困るのはディーラーだと思う。
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