■部品不足で電動車のみならずガソリン車も納期は遅延しているが……
ただ、コロナ禍に端を発する部品不足により、製造/販売が思うようにいかない状況が続く。結果、アリア、SAKURA、そしてエクストレイルは注文の一時停止、いわゆる受注停止を余儀なくされた。アリアにいたっては高精度な半導体や新技術を支える部品などの使用数が多いことから、契約者の納期が当初よりさらに遅れる見込みだ。
部品不足は電動車だけの問題ではない。純粋なガソリンエンジンモデルとしては最終型になるであろう新型フェアレディZにしても価格発表からわずか3カ月の7月末日をもって受注停止となり、現時点でも販売再開の目処すら立っていない。このことは読者の多くがご存じだろう。
2022年11月28日に発表された日産のドル箱ミニバン、新型「セレナ」にも強化型1.4Lのe-POWERと新型エンジンを搭載。すでに大ヒットの予感だが、先の状況から長期間に渡る納車待ちへの覚悟も必要だ。
さらに「エルグランド」や「スカイライン」の次期型も電動化モデルとしてのデビューが待たれるが、発表するクルマの多くが納車はおろか製造すらできていない実情で、本当に次期型が控えているのかという疑問すらわいてくる……。
■「Nissan Ambition 2030」ではEV15車種など新型電動車23車種の投入を表明
2021年11月29日、日産は長期ビジョンとして「Nissan Ambition 2030」を発表している。ここでは、今後5年間で約2兆円を投資し、電動化を加速すること、2030年度までに電気自動車15車種を含む23車種の新型電動車を投入し、グローバルの電動車のモデルミックスを50%以上へ拡大すること、全固体電池を2028年度に市場投入することの3つが掲げられた。
続く2022年6月28日に開催された第123回定時株主総会の事業報告で、取締役/代表執行役社長兼最高経営責任者である内田誠氏は次のように述べた。
「これまで進めてきた事業構造改革「Nissan NEXT」の結果として、生産能力の20%削減と、車種数の15%削減により無駄を排除し、3500億円以上の固定費も同時に削減。一方、e-POWERの積極的な導入で商品価値を高め1台あたりの売上高は18%高めた」
そのうえで電動化では車両、バッテリー、充電器の開発/生産などを含め、電動化技術に対して約1兆円の投資を行いつつ、今後5年間でさらに約2兆円を投資して電動化を加速すると強気だ。
さらにNissan Ambition 2030への踏み込んだ言及として、2026年までにBEVとe-POWER車を20車種投入し、電動車のモデルミックスをグローバルで40%以上に引き上げつつ、日本市場においては電動車の販売比率を55%以上にするとした。
■日産の内燃機関車は生き長らえる
少し前までの電動化といえば「内燃機関からの脱却」を意味した。だから、我々クルマ好きは置いてけぼりなのかと心配されたが、少なくとも2026年時点で残り45%、つまり約半分の日産車の販売は内燃機関車との目論見に。
具体的には、2021年国内販売実績が45万1000台だから、そこをベースに皮算用すれば20万台程度は内燃機関車となる。
将来的には「GT-R」を筆頭にすべてが電動化(e-POWER以外のハイブリッドシステムを含むと予想)され、一部はBEV化となるのだろうが、内燃機関車はゼロにはならない。VCターボのような内燃機関の利点を伸ばした電動化や、熱効率50%を達成する新燃焼コンセプト「STARC」技術によって内燃機関は生き長らえる。
これからもクルマ好きがワクワクするような新型車が次々に日産からデビューするぞ!
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コメント
コメントの使い方ビジョンが分かりやすい日産に期待大、は同感。新車発表から納車開始までの長い期間を、走り込みとチューニングに使っているのでは、と思えるほど。それとは別に、モータージャーナリストの方々は、クルマ好き=エンジン好き、のスタンスは卒業してほしいな~