■ソニーとホンダの決定的な違いはいったいどこにあるのか?
開発現場はどうなっているか? そもそも論なのだけれど、ソニーからすればホンダをマグナと同じように考えているらしい。
参考までに書いておくと、企業の価値を示す時価総額(株式相場×発行株数)を見ると、ソニーの12兆6500億円に対し、ホンダは半分以下となる5兆4900億円。ソニーとしてはホンダに開発と生産を委託するくらいのつもりでいる。代表もソニー側。開発コストは半々と聞く。
もちろん、ソニー側の対応を見ていると決してホンダを下請け扱いにしていない。敬意を表しているように見える。ただ、ホンダ側を取材してみたらすでに反発しているようだ。
ソニーとホンダの決定的な違いはふたつ。ソニーが収益源としているエンタメは、自動車と違って命を預けない。加えて価格だって安く、多少のバグがあっても許容される。自動車産業からすればすべて簡単に譲れない要項。
もっとわかりやすく言えば、クルマの場合、起動ボタンを押せば100%不具合なく立ち上がることを目指す。家電&エンタメであれば、1000回に1回くらいなら許容される。したがって仕様変更のハードルは自動車業界の常識からすればかぎりなく低い。当然ながらアレコレとソニーからリクエストが出てくることだろう。ソニーとしても「魅力的な商品」を目指したいですから。
そんなイメージでホンダ側に伝えると、いろんなことが「間に合わない」という返事になる。これをソニー側は「やる気がない!」と受け取りがち。すでに現場で齟齬も発生しているようだ。
お互い尊敬し合えればいい意味で今までにない魅力を作れると思う。ただ、自動車産業とエンタメ産業の立場の違いは、皆さんイメージするより大きいんじゃなかろうか。自動運転の価値観など、特に厳しい?
興味深いことにホンダ側が協業のため送り込んでいる開発チームの人選は、なかなか苦労している様子。20人程度しかいないLPL(車両開発のチーフエンジニア)や、同じく60人ほどしかいないLPL代行(LPLに3人くらいずつ付く番頭役)を割くことはできない。
微妙な内容を含むため、ホンダ関係者の口が硬いものの、喜んで協業に出ようという人はいないと聞く。このひと言だけで想像つきます。
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