エクステリアは申し分なし、ただインテリアには懸念が
新型クラウンスポーツのエクステリアデザインについては、SNSなどをみると、フェラーリのプロサングエに似ているとか、テールランプがマツダRX-7(FD)に似ているなどの指摘もあるが、おおむね好評のようだ。
Bピラーから前方はクラウンクロスオーバーと共用(バンパーやヘッドライトなどのディテールは異なる)のようだが、Bピラーから後ろのセクションが切り詰められおり、リアドアの長さも短く、コンパクトだ。そのぶん、リア周りはボリューム感のあるデザインとなっており、クラウンクロスオーバーよりもワイド&ローなスタイリングに見える。グラマラスなリアスタイルはクラウンスポーツの魅力だ。
最大の懸念は、インテリアのデザインだ。新型クラウンクロスオーバーに半日ほど試乗させていただいたが、煌びやかで新鮮味のあるエクステリアには惚れ惚れする一方、インテリアの物足りなさは強く感じた。操作系の使い勝手の良さ、液晶ディスプレイの大きさ、運転席からの視界、先進支援技術の使い勝手など、機能的にはなんら文句はないのだが、「色気」や「艶やかさ」といったエモーショナルな部分が、ライバルとなるであろう欧州輸入車とは、まだ大きな差があるように感じたのだ。
「欧州車の高級車メーカーの方向が答え」とは思っていないのだが、輸入車の世界を知っているオーナーには、クラウンクロスオーバーのインテリアは若干寂しくみえるはず。たとえば、メルセデスのバッテリーEV「EQB」(788~822万円)では、一枚パネルでできたデジタルメーターの他にも、煌びやかなメーター表示や車内イルミネーション、ピアノブラックやメタル調パネルを使うなどで、エモーショナルな雰囲気を演出している。
また、メルセデスEQE 350+(1248万円)では、デジタルメーターからセンターディスプレイまでが一枚パネルでつくられており、先進性と高級感がぐっと高まって見える。EQEは新型クラウンスポーツと価格帯が異なる(と思われる)が、このように他メーカーの進化ぶりをみてしまうと、新型クラウンはどうしても後れを取っているようにみえてしまうのだ。これは新型クラウンだけではなく、国産メーカーの高級車に通じることなのだが、新型クラウンスポーツには、レクサスの新型RX並のインテリアは与えて欲しいと思う。
「クルマとしての性能のよさ」は当たり前性能、ユーザーにどれだけ満足感を与えられるかがカギ
新型クラウンスポーツは、おそらくクラウンクロスオーバーと同価格帯、つまり500~700万円になると思われる。この価格帯だと、輸入車を含む高額車から乗り換える方たちもターゲットユーザーとなってくる。艶やかな輸入車を乗り継いできたユーザーたちが、新型クラウンスポーツのようなクルマに求めることは、ハンドリングや乗り心地、音振、燃費、加速といったクルマ本来の性能の良さは備わっていて当然であり、それらに加えて、エクステリアやインテリアから受ける見栄えや先進性、雰囲気などから、「満足感」や「優越感」がどれほどあるか、という点ではないだろうか。
ライバル車は、もっと刺激的で魅力的なインテリアを持っている。新型クラウンスポーツでは、新型クラウンクロスオーバーの内装のままではないことを祈りたい。より詳細な情報を掴み次第、考察を深めたいと思う。
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