先代WRX STIの販売が2019年12月に終了して早くも3年以上が経過した。WRX S4こそ現行型に切り替わったものの、MTのスポーツモデルである「次期型WRX STI」はまったく姿を現さないままだ。もうクルマ好きが熱望する次期型WRX STIは出ないのだろうか?
文/ベストカーWeb編集部、写真/スバル、STI、ベストカー編集部、ベストカーWeb編集部
■次期型WRX STI開発のネックになっているのは燃費規制の「CAFE」
2022年3月11日に米国でのスバル車販売を統括する「スバルオブアメリカ」は、公式リリースをメディアサイトで発表したのだが、このリリースに「当面の間、新型(現行型)WRXのプラットフォームをベースとした、内燃機関搭載の次期型WRX STIは生産しない」と名言されていた。
北米市場はスバルにとって最重要市場とも言えるが、それだけにこのリリースに対してがっかりしたスバリストも世界中に多く存在したはず。では、何が次期型WRX STI開発の壁となっているのか?
実は2019年に先代モデルのWRX STIが生産を終了した時点では次期型WRX STIの開発は現行型S4とともに進んでいたという。しかし、そこに立ちはだかったのが急速に世界全体で大きく舵が切られた「カーボンニュートラル」への流れだ。
というのも現在、自動車メーカーに課されている厳しい燃費規制がその背景にあるのだが、1車種だけでなく、そのメーカーの車種全体での販売台数に応じた平均燃費の値として計算される「CAFE」(企業別平均燃費)がスバルにとっては難題となっている。
BEVのソルテラこそあるものの、マイルドハイブリッドの2Lの「e-BOXER」を搭載するのもクロストレックとフォレスターのみ。今後、2023年春にFMCが予定されている新型インプレッサにも搭載される予定だが、マイルドハイブリッドである以上、劇的なCAFEの向上にはつながりにくい。
■実はWRXは北米市場では堅実に売れ続けている!?
スバルの象徴ともいえる「水平対向エンジン」だが、初代インプレッサWRX時代から長年採用された名機、EJ20ターボは1989年の初代レガシィのデビューとともに先代WRX STIの販売が終了するまで、実に30年間も現役を張り続けた。
初代レガシィRSに最高出力220ps/最大トルク27.5kgmでスタートしたEJ20ターボのスペックは、1996年に登場した初代インプレッサWRX STiバージョンIIIや2代目レガシィRSマイチェンモデルなどで当時の自主規制枠となる280psに到達。最終的に先代型WRX STIでは308ps/43.0kgmまで進化し、STIコンプリートカーのS208や先代WRX STIタイプRA-Rでは329psにまでパワーアップしていた。
ちなみに現行型WRX S4は2021年11月にフルモデルチェンジを受け、登場した。そのパワートレーンは直噴の水平対向4気筒2.4LのFA24型ターボ(最高出力275ps/最大トルク38.2kgm)を初代WRX S4のFA20型水平対向2Lターボ(最高出力300ps/最大トルク40.8kgm)から換装されている。
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