EVばかりがもてはやされる昨今、純ガソリンエンジン車はもはや風前の灯。そこに現れたのが麗しの淑女、日産 新型フェアレディZだ。スポーツカー好きにとっての救世主登場……かと思ったのもつかの間、あっという間に受注停止に……。販売再開はあるのか!?
※本稿は2022年11月のものです
文・写真/清水草一
初出/ベストカー2022年12月26日号
■乗れば感涙間違いなし!!! でも現実は厳しい……
フェアレディZは、半世紀以上の長い歴史を持つ、日本を代表するスポーツカー!
今世紀に入ってからは、Z33型、Z34型ともに鳴かず飛ばずだったが、新型Z(RZ34型)は最後の純ガソリンエンジン搭載のZとなる可能性が高いうえに、初代をはじめとする歴代Zを彷彿とさせるノスタルジック&モダンなデザインがスバラシイ!
エンジンはスカイライン400Rに搭載された、VR30DDTT。3LのV6DOHCツインターボで、最高出力は405馬力を誇る。
そのパワーとフィーリングには、400Rで大いに感動させられていただけに、期待は猛烈に高まっていた。
実際に試乗したZは、期待以上の素晴らしさだった。このクルマのキモは性能じゃない! 風情だ!
下からトルクがモリモリ湧き出しつつ、ドッカーンと炸裂してレッド手前まで突き抜けるツインターボには、昭和の香りが濃厚に残っている。
つまりこれは21世紀の昭和! 最後の内燃エンジンスポーツカーにふさわしい。
このカッコとこのエンジンがあれば、そのほかの性能なんて、どうでもいい! コイツで首都高湾岸線を流せば、それだけでもう「生きててよかった」と思えるぜ!
が、そのような感動に打ち震えた時、新型Zは、とっくに受注停止になっていた。
日産は新型Zの生産・販売予定台数を一切公開していないので、いったい何台のZが国内に供給されるのかサッパリわからないが、2022年7月末に受注が締め切られた段階で、当初予定の数年分が売り切れたようだ。
具体的に何年分なのか不明だが、「納車は5年先になるかも」と言われた注文客も存在するという。
5年先……。なんという長い年月だろう。いや、まだ注文していない者にとっては、5年どころの話じゃない。一生待っても買えないかも!
じゃ中古車はどうかと言えば、ネット上には「新車価格の3倍」という噂が躍っている。
真偽は不明だが、近年の絶版国産スポーツの高騰ぶりを見れば、3倍は極めて現実的な数字。さらに上昇する可能性もある。
どんなに新型Zが素晴らしくても、新車は買えず、中古車もまず手が出ない。
新型Zには夢がいっぱい詰まっているが、それを手に入れるのは、ほとんど絶望的。まさに夢と絶望!
コメント
コメントの使い方